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奨学OG・OBからのエッセイ
モンゴルの教育者として
 
 
 
モンゴル出身。2004年来日。
横浜国立大学卒業。2009年4月帰国
 
 

私は今、モンゴルで高校の教師をしている。毎日「スウリ先生、おはようございます」「スウリ先生、これはどういう意味ですか?」という風に生徒たちに囲まれ、3階建ての校舎を一日に十回以上行き来している。忙しく大変なことは多いが、モンゴルの生徒たちのやる気や勉強への意欲に引っ張られ、4ヶ月があっという間に過ぎようとしていることを考えると自分でも信じられない。

私は、今人生の一つの大きな節目を迎えている。節目は節目でも、最も大きいと考えている。なぜならば“人生”への具体的な一歩を踏み出し、方向性が明確になってきたからだ。私は日本にいるときに「私は日本で学んだことを持ち帰り、モンゴルで教育者として働き、役立てたい」と夢見てきたが、これを双日財団の方々にも話したことがある。そして現在、自分が夢見てきた場所に立っている。人生の方向性がやっと形になってきた。ですから、これからはひたすらまっすぐ進んでいくつもりだ。

私は今、モンゴルの日本式高校「新モンゴル高校の日本語教員および国際関係担当」として、日々失敗しながらも多くを学んでいる。本校の多くの卒業生が日本に留学し学んでいる。生徒たちは先輩を見て、「日本や先進諸国へ行って高い水準の教育を受け、将来活躍したい」という夢を膨らまして、熱心に勉強をしている。モンゴルにはこういった若者が多くなる社会現象が起こっているのである。私は、幸運にも日本に行く機会に恵まれ、双日財団から奨学金を頂き、日本から本当にたくさんのことを学ぶことができた。このような外国で国を客観的に見て、物事を見る目を養い、大学の先生方から多くの知識をいただいたことは、今の自己実現に大きく結びついていると思う。私はできるだけ自分と同じような機会を生徒たちに与えられるようにしたい。そのために、日本語の指導はもちろんのことですが、アイデンティティを持って国のことを考え、使命感を持つことの大切さを身を持って教えたいと考えている。私の指導した生徒が将来帰国し、モンゴルで自信を持って活躍できることを私は将来に望んでいる。教育とは人と人の関係からできるものだと思うとともに、そのような厚い人間関係をたくさん作りたい。そして、このような人間関係を多くのエネルギーある生徒とつくることができる「教育者」という仕事に本当にやりがいを感じている。また、私は小さな頃から人間や人間の心理に興味を持っていたので、生徒の心理はもちろん、モンゴルに来て日本とモンゴルの人々の考え方をよく比較し、分析をしてきた。私は、日本人から学ぶべきたくさんの良い所を少しずつモンゴルの人々の意識に浸透させたいとも考え、日々の自分の行動で実践し、他の先生方の模範になれるように努力している。これは、日本で勉強した者としての使命だと思う。しかし、最初は失敗と衝突ばかりであるのも事実であるが、あせらず少しずつ、自分や目標に正直に進んでいきたい。

モンゴルに来て、日本で抽象的に考えてきたことをより具体的に考えられるようになってきているとともに、勉強したことはもちろんですが、日本で支えてくれた多くの方々の存在が自信になって、支えとなっている。今は、胸を張って立つ事ができている。日本は、すでに私の人生から切っても切り取れない存在になっており、これからずっと関わっていきたいし、モンゴルのためだけでなく、日本のためになることも教育を通してできると思う。日本の多くの青少年にモンゴルに来てもらいたいし、日本にはもうないものをモンゴルで感じてもらいたい。その時、私はその架け橋となりたい。

最後に、自分のことしか考えられなかった私は、日本に行き、多くの事を目で見て、感じることができたからこそ、他人や将来のモンゴルについても考えられるようになったと思う。これには、双日財団の暖かい応援や励ましが不可欠だった。私を一つのパンに例えるならば、水やイースト、調味料などの色々なものを加えていない小麦粉だった私が、両親や先生方、双日財団から塩や砂糖、イーストなどを愛情たっぷり加えられ、それに励まされて努力という粉ねを続けて、一つのパンとしての形をやっと作り始めているところなのである。このように不可欠な要素だったと感じている。皆様は、私や多くの留学生に対してお金以上に自分の人生を作っていくための勇気と自信を与えていると思うのだ

このような皆様の人生においても、幸福とご健勝が訪れますことを心よりお祈り申し上げます。本当にありがとうございました。

 
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