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そんちゃん、今から飲み行く?
韓国出身/2011年4月来日
九州大学大学院 人間環境学府実践臨床心理学専攻 修士課程1年在学中
趣味:美味しい店を見つけたら友達と一緒に食べに行くこと
将来の夢:臨床心理士
研究テーマ:摂食障害傾向者の親子関係に対する認知と親との心理的距離の関係
 
 

留学生という名の生活をしながら感じたことの中で、文化が違う人たちが理解しあうためには、まずある程度の付き合いが必要ということを感じました。誰でも一回や二回で済む交流や出会いなら、自分の全てを見せずに相手に合わせながら行動することができるでしょう。しかし、それでは本当に違う文化を理解しあったとはいえないと思います。韓国にいるとき、結構日本の学生との交流がありましたが、その時には文化の違いで生じる問題を感じることはあまりありませんでした。そんなに長い時間の付き合いでもなかったし、お互い自分のほんの少しだけの姿を見せればよかったため何の問題なしに楽しい思い出を作り、お互い、また出会ったときには、うまくやっていけると思ったのではないかと思います。実際、私も日本に来る前には、日本人の友達を無理なしに作れると思っていました。

しかし、実際、日本に来て、親しい日本人の友達を作ることはなかなか難しかったです。その時は、自分たちの国で、友達も十分いる生活をしている日本の学生にとって、言葉のやり取りも難しくて、共感しにくい留学生の友達はあまり必要ではないためではないかと思いました。今まで友達という存在は努力せずにいつの間にかできている存在と思っていた私に、これから努力してお互い親しくなってみようと言っても、どうしたらいいかわからないまま、「ただ日本語がものすごく上手になれば大丈夫になるのか?」、「日本人にただ合わせればいいのか?」などを考えながら、最初は、焦る気持ちで、友達を作るために自分を苦しめた気がします。

今の私は、日本で留学生であります。しかし、その前に、「ソン・ミヘン」という名を持った普通の人間です。自分と向き合い、ありのままの自分を見せずには、絶対どこでも友達を作ることはできないと思いました。留学に来ている日本に全部合わせようとしていた思いから、だんだんありのままの自分を見せて行こうという思いに変わりました。少しはふざけて天真爛漫であったり、向こうから話しかけてきたらしっかりと聞いて頼もしい姿を見せたり、このように今まで楽しく人と接していた自分を思いながら、今まで積み重ねて来た自分を見せました。そうしたら、いつの間にか、私に対して心を開いてくれる友達ができて、気軽く話し合えたり、悩みを相談したり、楽しく学校で過ごせたりすることができるようになりました。

友達を作るにして、お互いの関係が自然に流れ込むことが大切だと思います。私にとってそのことは、ありのままの自分を見せつつ、焦らずに待ちながら接して行ったことといえるでしょう。同じ文化の人同士としてもみんな親しいわけではありません。誰もが友達という存在を作るには、ありのままの自分を見せて、思っていることなどをお互い共感し合うことから、親しい関係になれると思います。どんなに話し合っても合わない人とは親しくなれない。しかし、留学生の私と日本の学生みたいに、お互い文化が違っても素直に話し合って共感して楽しく過ごせれば、自然に友達になれるのではないかと思います。自然にとは言っていますが、このことは決してじっとしていたらいいというわけではありません。授業であっても、ある出会いであっても、はじめは自分から声をかけるという行動が必要と思います。自分から勇気を出して声をかけたのに、ある時は失敗もするでしょう。でも、このような失敗を恥ずかしがらないで欲しいと思います。何もせずただ他の人が近寄ってくるのを待つ人よりは、もっと自分の人生を出会いで豊かにさせる勇気のある行動であるからです。

いつの間にか、不安であった入学初期の時間が過ぎて、前期の終わりである夏休みに向かっています。今は、ありのままの自分で、楽しく学校の友達と飲みに行ったり、ご飯を食べたり、お互いの悩みを話し合ったりしています。今でも、韓国であれ、日本であれ、友達を作るということは難しいと思っています。しかし、自分と向き合い、自分のありのままの姿を見せていければ、きっとお互いのことを共感できる友達を作ることができると信じています。

 
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