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韓国出身/ 2011 年4月来日
九州大学 文学部 日本史学研究室4 年在学中
趣味:サイクリング、カラオケ、ゲーム
将来の夢:歴史学者になること
 
 

「ワンピース」という冒険漫画を知らない方々はいないでしょう。このワンピースですが、我が母国たる韓国でも大人気でありまして、今年の7月12日からソウル龍山にある戦争記念館の企画展示室を貸して企画展を行う予定でした。しかし、戦争記念館側は開催直前の2日前の7月10日に、突然ある理由を以て特別展の開催を一方的に取り消しました。その理由は、「(戦争記念館に)「原作に日本の旭日旗が登場するワンピースを戦争記念館で開催することは問題がある」という(市民からの)意見が多数提起され、確認の結果、(中略)日帝強占期など対外抗争の歴史を教訓として(市民に)伝える戦争記念館でワンピース企画展を強行することは(中略)戦争記念館の正体性に相反するものと判断し、やむを得ず貸室を取り消し」にしたというものでした。しかし、取り消しの理由になった問題の場面は旭日旗と似たようなシンボルが使用されただけで、特にいわゆる日本軍国主義の賛美の意図がないとされ、先日裁判所から取り消しは無効であるという判決が言い渡されました。そして7月26日から展示を始めています。

また、他にも同年7月11日に開催を予定していた自衛隊創設60周年記念式も会場側のロッテホテルが市民団体の抗議により一方的に会場貸出を取り消しました。この取り消しについてロッテホテルは「予想できない突発事件が起こる可能性があり、ホテルを利用するほかのお客様を危険な目にあわせる可能性があるため」だと説明しています。しかし、同月25日に同ホテルで行われた中国人民解放軍の創軍記念式は通常通り行われたらしく、個人的にそのような論理であれば、それも同様に危険ではないかという疑問が残りますが、今回はそれについての詳しい話は控えておきます。

上記の二つの事例は日韓関係をめぐるトラブルとして注目されたものですが、このようなトラブルの原因には共通点があるということにみなさまは気づかれましたか。それは両ケースとも「(市民からの)意見が多数提起」や「市民団体の抗議」といった個人または団体の意見や抗議により取り消しに至ったということです。このように韓国ではある出来事が世論の圧迫や干渉により影響されることを法にたとえて「国民情緒法」または「テ法(「テ」とは群れ、またはわがままを意味する韓国語)」といいます。

韓国の新聞社の一つである「毎日経済」による国民情緒法の定義は「国民の情緒とは異なる行為を法に喩えて国民情緒法と言い、これは実定法(成文法)ではなく不文律である。国民情緒法は世論に依存する感性的な法であり、言論の影響を甚だしく受ける。」と説明されています。また、テ法も同新聞社によると「法の適用を無視して横車を押す無理な主張または群れをなして歩き回りながら不法デモを為す行為。」と定義しています。さらに、これらの用語は韓国では憲法の上に存在しているものであるとしばしば説明されます。

このように、韓国では「国民情緒にあわない」だの、群れを組んでわがままを言えば自分たちの意見が通るだのといった認識が蔓延しており、法に基づいた本格的な民主主義の開始から20数年が過ぎている今日に至ってもそのような傾向は続いています。民主主義国家において政治的な行動の際に最も大事なことは、自分の意見が正しいと信じ込んで国民情緒や世論などといい無理やりそれを貫徹させるのではなく、先以てその意見が一理のあるものなのかを十分考察してから行動に移しても遅くはないと考えています。

<出典>
聯合ニュース
          (2014 年7 月10 日付)
聯合ニュース
          (2014 年7 月25 日付)
朝鮮日報
       (2014 年7 月25 日付)
毎日経済用語解説
             (Naver に転載されているものを利用)

 
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