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私から見る行列の好きな日本人
中国出身/ 2014年4月来日
一橋大学大学院 経済学応用経済専攻 修士課程2年在学中
趣味:スケート、料理
将来の夢:人々の役に立つ人になること
研究テーマ:中国の薬価制度の影響分析
 
 

日本に来てからもう2年半になりました。日本での生活にどんどん慣れるとともに以前理解できなかった日本人の習慣についてもより理解できるようになりました。一番印象深いのは日本人の行列好きという特徴です。以前は特に食べ物のために何時間も待たされるのは不思議なことだと思っていて、なかなか認められなかったんですが今は理解しました。主に3つの方面からこういう特徴を自分の理解で紹介します。

「ラーメン篇」
"30歳の時、中国で日本ラーメンについての本を出版したい"というのは一つのバカ夢です(笑)。私は日本で一番好きな物は間違いなくラーメンです。最初はラーメンの注文方法すらわからなくて恥ずかしい時が多かったのでわざわざネットを通じて勉強しました。その後、毎回ラーメンを注文する時、「野菜まし、油、辛めで」のようなコールを言うだけでなんとなく達人になったなあという満足感が胸に浮かびます。ラーメンの中で一番好きなのは中本蒙古タンメンという「日本一うま辛のラーメン」です。大ファンになってから少なくても週2回ぐらいの程度で店に通っていますが、本場のファンよりまだまだ素人です。中本は東京でいくつかの店舗があり、1年中各店舗で周年祭を行っていてファンたちは必ず祝福をしに行きます。そこでくじひき大会も行っていて、普段多くのポイントで交換しなければならないグッズもゲットできるチャンスがあります。中本は結構人気な店なので平日は少なくても30分待つのは普通ですが、周年祭の時は3時間、4時間待つことが普通です。でもおかげさまで自分はなんとなく行列好きな日本人の気持ちをわかるようになりました。行列の店の8割以上は昔からある老舗なので、昔ながらの伝統の味を守るために1代目から何代目までも一人一人の店長の努力で必死に守っています。こういうことは老舗の精神になり極めて有意義であることです。ですので「好きだから何時間待っても大丈夫です」、「味へのこだわり」などはその精神への尊重だと考えています。そして知り合いの中本の常連さんの一人は、1代目の時からずっと通っていて今まで20年も経ちました。彼の中本への愛情に非常に感動しました。好きなことと人のために長時間の並びは無駄ではなく、有意義な時間になります。

「地震篇」
日本は島国なので地震は極普通なことで、建物も丈夫でいつも発生する時全然怖く感じませんでした。そして4月14日21時に熊本大地震が発生した時、いつものとおりに気にならなくて寝ていました。次の日、ニュースを見ると震度7もあり、死者も何十人いるという大きな地震であったことに大変びっくりして悲しかったです。そして、ちょうど友達は熊本大学で留学しているので、熊本への関心はもっと高くなりました。以前からの感想ですが、もしこんな地震が中国で発生したらどうなりますか? 四川大地震のことを例とすれば、2008年5月12日に中国の?川で8.0級が発生しました。中国政府の統計データから見ればこの地震による死者は6万9,197人でしたが、実際の死者人数はおよそ10万以上になると思っています。そして熊本の場合はほぼ同じ震度で死者は81人でした。その上、熊本県の人口は182.2万、?川市の人口は11万で、熊本県の人口は?川の16倍もありますが、地震による死者は?川の1/10でした。この比較から気になることは、日本の建物の地震に耐えるレベルが高いという当然のことと、日本人は危険な時でも「行列並び」をちゃんと守る素質のことです。中国の場合、地震の時はかなり乱れている状態でした。これから見れば、中国は日本に学べることはまだまだ多いと思っています。

「集団心理篇」
日本での生活で日本人は集団心理があります。今は多くの日系企業は実力主義を強化していますが、職場では"出る杭は打たれる"ということばはまだ適用している印象がごく強いです。気づいた一つの現状は「残業我慢大会への強制参加」です。"仕事を早く終わっても早めに帰宅するのはできない"とか、"早く帰る夫=能力のない男"と女房に嫌がれるサラリーマンもいるそうです。行列の好きな行為もこの心理での影響があるじゃないかと私は思っています。

行列好きな行為は日本人の高度な素質を示しているのみではなくて、日本独特の文化も反映しています。これは日本で暮らしていないと理解できないことです。2年半も日本で暮らしていた自分にはまだまだ日本文化の中にわからないことがいっぱいあって、これからも自分の目で自分の心で面白い日本社会をさぐりたいと考えています。

 
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