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奨学生エッセイ
 
 
 
百聞は一見にしかず
韓国出身/ 2012年3月来日
慶應義塾大学大学院 法学研究科 博士課程4年在学中
趣味:料理、映画鑑賞、スカッシュ
将来の夢:大学の教員として研究を続けること
研究テーマ:過失犯に関する日韓比較研究
 
 

今年の7月、岡山の友人からお中元をもらいました。毎年のこの時期、デパートやスーパーの宣伝広告はよく見かけましたが、直接お中元をもらったのは初めてでした。韓国にも、旧暦8月15日と旧正月に合わせて、親戚やお世話になった人に肉類や調味料などを贈る、お中元と似たような慣習があります。しかし、贈る期間(日本のようにほぼ1ヶ月の期間ではなくその日の前後)やお中元に対するお礼状を送ることなど少し異なります。また、夏の間、お世話になった方や日ごろ連絡が取れない方に、気遣いの気持ちと近況を伝える暑中見舞いのはがきを送ることも韓国では見られない風景です。日本で留学生活を送る中で、季節ごとに行われるさまざまな伝統や文化生活を経験することができました。今回のエッセイでは、5 年間の留学生活を振り返りながら、経験した日本の文化について少し書いてみたいと思います。

連休明けや夏休みの終わりには、授業の前にクラスの先輩や後輩から各地方や海外のお土産をもらうことがしばしばあります。観光地や駅、空港などではお土産の専門店が軒を連ね、各地域を代表するお土産を販売しています。この「お土産の文化」は、韓国にはない文化です。もちろん、旅行先でその地域の名産物などを買うことは韓国でもありますが、おもに家族や親友に対するお土産であり、自分を取り巻く多くの人たち(例えば職場の上司や同僚や学校の先輩、後輩など)にまでおみやげを持ち帰ることはほとんどありません。お土産を韓国語の辞書で検索してみると「??(そんむる)(膳物)」と訳され、類似語として贈り物、プレゼント、ギフト、手土産、御礼などが一緒に表記されています。日本では細かく使い分けている言葉が韓国では一つの言葉で使われているので、私にとってお土産というのは「?? ( そんむる)(膳物)」の一種類であるものでした。そのため、夏休みに一時帰国して日本に帰ってくる時、お土産を買うことでとても悩んだことがありました。韓国で「??(そんむる)(膳物)」は感謝の意味を表すものなので、少し特別なものを買わなければならないという認識があり、最初は一人当たり一箱のクッキーセットを買いました。お土産で苦労をした話を日本人の友達にしたら、日本でのお土産は相手に負担にならない程度のもので十分だと言われました。その時、お土産は「?? ( そんむる)(膳物)」とは異なる、周りに対する気配りであることを感じました。日本で生活すると、お土産をあげる場面ももらう場面も頻繁にあります。お土産文化を辞書ではない経験から理解した今では、旅行先でお土産を買うことが楽しくなりました。このように、日常生活を送る上で得られる日本文化への理解は、留学生活においても重要な部分です。日本の文化や社会に関する理解が、日本の学問を理解することにも欠かせないからです。

花見や花火、そして祭りなどに参加する文化体験も素敵ですが、留学で最も貴重な経験は人と人とをつなぐさまざまな文化に触れ合えたことです。お土産や季節ごとのハガキを送ること、お中元やお歳暮を交わすことは、人とのコミュニケーションとかかわるものであり、これは旅行では味わえない日本の文化であると思います。昨年からは、幸いに双日財団とのご縁により新しい出会いと経験をさせていただきました。これからもこのような絆を大事にしながら、日本の文化に関する理解を深めていきたいと思います。

 
 
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