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奨学生エッセイ
 
 
 
個人としての「修身斉家治国平天下」
中国出身/2012年4月来日
岡山大学大学院 社会文化科学研究科 博士後期課程2年在学中
趣味:読書、ドキュメンタリー映画鑑賞
将来の夢:研究者として国際社会に貢献すること
研究テーマ:中国における区際間法律抵触と国際私法の可能性
 
 

1. 留学の動機
私は言語学習が好きで、大学に入った時、外国語専攻を志望しました。当初、日本語を選んだのは、多数の日本企業が中国に進出しており、日本語を習得できれば、将来の自分が活躍できる機会が多くなると単純にそう考えたからです。しかし、一つの言語には、その国の歴史文化が内包され、日本語を勉強するうちに、日本の歴史、文化などに、大変惹かれるようになりました。東洋的なものと西洋的なものが協調しながら交じり合っている日本の社会に私達は学ぶべきところが多いと思っています。驚異的な経済成長を可能にした世界最高レベルの技術と知識を学ぶことができる良い環境の中、日本の大学や教育機関において、幅広い勉強や研究が自由にできるばかりではなく、中国とは違う独特な異質文化を体験できるのが魅力的です。また、日本社会を少しずつ理解することは、古くから日本と繋がりが深い中国の言葉や文化、社会に対する理解を深める上でも大きな意味を持っているし、国を超えた様々な分野での交流のためにも有益だと考えて、日本へ留学することを決意しました。

2. 20 代の思惑
古之欲明明徳於天下者、先治其国。欲治其国者、先齋其家。欲齋其家者、先修其身。欲修其身者、先正其心。欲正其心者、先誠其意。欲誠其意者、先致其知。致知在格物。

上記白文は中国古典・儒教の経書の一つ『大学』の原文の一部であり、それを現代語に訳すと、「古代の明徳を天下に対して明らかにしたいという者は、まずその国をよく治める。その国をよく治めたいという者は、まず自分の家族を整える。その家を秩序ある形で整えたいという者は、まず自分自身の身・道徳を修める。その身を修めたいという者は、まず自分の心を正しいものにしようとする。その心を正しくしたいという者は、まずその意志を誠実なものにする。その意志を誠実にしたいという者は、まずその知を高めようとする。知を高めるとは、物・事物の仕組みを理解するということにある」と分かりやすく理解することができます。首題の言葉は、まさにこの文章から抽出した言葉であり、「修身・斉家・治国・平天下」の段階的に発展する政治思想の要諦、そして、身近な自分の事柄から遠大な国家の理想まで、長い思想の射程を表すものです。

少年時代に教養として丸暗記させられたこの白文について、その当時、ほんの少ししか理解できませんでしたが、年齢と学識が重ねていくにつれて、少しずつ分かるようになり、古代哲学者の名言に凄く感銘を受けました。政治思想として解されたこの白文は人生の方向性と在り方を教示してくれました。生きていく上で、如何に何をすればいいのであろうと考えることが大事で、自分がそれを真剣に考え始めるようになったのが、20代に入って来日してからでした。異国である日本で、学習生活を送っている日々は自分にとっての試練でありながら、人生の宝物でもあると思っています。将来、平天下レベルまでには行けないかもしれませんが、物をよく見て観察し、物の本質を正しく理解してから、知識を深め、さらに、その知識をもとにして知恵を働かせることで、身を修めるまで頑張っていきたいと思います。

3. 将来の夢
学業修了後、大学あるいは他の研究機関で研究職の仕事をし、研究者になりたいと考えております。教育をしながら、博士課程で積んできた研究業績を基礎にし、一国内にある区際間法律の抵触だけではなく、多国間の法律抵触も研究視野に入れて、いかにその衝突を認識するか、そしてどの方法で解決に取り組むべきかを研究します。研究者というポストを有効に利用して、国際的な研究チームワークを作ったり、共同研究の方式を通して、国家間の学術交流を深めていきたいとも考えております。知識を伝授するもの、また研究者として、これからの若い世代とともに、頑張っていきたいと思います。

 
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