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日本での豊かな留学経験について
モロッコ出身/ 2010 年10月来日
東京大学大学院 情報理工学系研究科知能機械情報学専攻 博士課程2 年在学中
趣味:旅行、サッカー、ピアノ
将来の夢:ロボット分野で起業、モロッコで大学教授
研究テーマ:被災環境で危険にさらされている人間を探索できる飛行歩行ロボットの開発
 
 

毎年のように今年もラマダンの時期になりました。西暦とイスラム暦は毎年11日ずつずれていくので、来日して以来のラマダンはいつも夏にありました。ラマダンとはイスラム暦の月の名であり、この月には、日中は人は飲食を控えます。日本の友達から、「北極みたいに、6ヶ月も太陽が沈まない場所では、まさかずっと断食するのですか!?」といつも聞かれます。もちろんそんなところでは決まった14時間ぐらいしか断食しません。

冬の断食はとても楽で一日で12時間ですが、夏の断食は早朝3時から夕方7時までの16時間ととても長いので、正直に言うと、断食が始まる前はいつも少し怖気づきます。暑いときに、水を飲まずに暑さや喉の渇きをこらえられるか心配になります。しかし、数日も経つと人間の体の素晴らしさを実感できるようになります。午前の3時前に食べる朝食だけで日本の暑い一日を乗り切れるようになります。

ラマダンは、しばしば断食だけをする時期と考えられているのですが、実際にはそれ以上の広い意味があります。人を不快にする行為やあらゆる悪意を伴う行為を避けなければなりません。一方、善行には大きな報いがあるとされています。ラマダンの本来の目的は、貧しさや不安定な生活の過酷さを実感することで、思いやりを持つことです。ラマダンは我々に、困っている人々に対して共感することの大切さを教えてくれるのです。

ラマダンの時、家族から離れて過ごす上で、時々大変な思いもします。17歳の時に家を出て以来、今でもモロッコのスープやお菓子を並べた食卓に家族たちが集まっての団らんを思い出します。それでも、日本で過ごすラマダンも魅力的です。東京にいる世界中のイスラム教の人たちがモスクに集まって(モスクでは無料で食事が提供されています)、がんばった一日の終わりに世界中の人々が集まって一緒に話したり、笑ったりして達成感を味わいます。麻布十番のカフェで、よくモロッコ人の先輩や友達と会ったりしていました。普段なら会えない人とも会うことができてとても嬉しく思います。

今年の夏も暑くて、近所から風鈴の音が聞こえます。隣りの日本人が「この音を聞くと涼しく感じられる」と言っていて、最初はとても驚きました。しかし、そのうちに僕も暑いラマダンの時にその音に優しい風を感じるようになりました。日本の文化がラマダンをもっと楽しくしてくれた例です。

数日前は、イードというラマダンの終わりの祭りがありました。子供たちがとても楽しみにしている祭りで、おもちゃを買ってあげたり、みんなで集まって遊んだりします。離れている家族が集まる大事な行事です。日本で言うところの盆正月やクリスマスと似ていると言えます。

日本の夏はまだまだ続きます。日本の夏と言えば海や花火や祭りなど楽しいことがたくさんあります。今年の夏もいろいろ忙しいのですが、海へ行ったり、花火を見に行ったり、元気をつけて暑い夏を楽しみたいと思います。

 
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