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奨学生エッセイ
 
 
 
私の見た中国人留学生の変容
中国出身/ 1986年10月来日
趣味:温泉めぐり、菜園いじり、名作映画鑑賞
将来の夢:故郷の学校で奨学金を設ける
現在の職業:札幌大学経営学部教授
 
 

中国で大学・大学院を経て、日本に留学し、博士学位を取得してからはずっと大学に勤務し、30年近くの間に地方国立の福島大学、旧帝大の北海道大学、私立の札幌大学を相次いで経験した。自身が留学生の1980年代後半から、多くの留学生を抱える指導教授まで、多くの中国人留学生と接してきた。

90年代までの中国人留学生は、一般的に経済的に貧しかった。極少数の国費留学生を除けば、ほとんどの私費留学生はアルバイトで授業料と生活費を稼いでいた。週28時間の制限があるけど、管制が緩いから逮捕されない限り、アルバイトを必死にしていた人も結構いた。

かつての中国人留学生は、質素な生活を送っていた。一番安くて古いアパートに住み、安い店から食材を買ってきて自炊し、昼食の弁当を大学に持参する人も多かった。大学の食堂さえ高く感じて、街での外食は滅多にしなかった。

近年、中国人留学生の行動に大きな変化が見られてきた。有名ブランドの衣服・靴や鞄を身に付けて、到着するや否やすぐ最新型のiPhoneを購入し、結構いいアパートを借りて、しょっちゅうレストランで食事している。

一人っ子が多いため、日本に来る前に自分で料理を作る経験のある人は少ないと思う。今はコンビニの弁当をよく食べるとの話を聞く。自炊でも、カレイライスやチャーハン程度の料理しかできないとか。

以前、勉学意欲の低い学生は教室の後列に座って私語することをよく見かけた。今は、後ろに集結している日本人も留学生も、授業中でもスマホの画面にかじりついている。

ほとんどの中国人留学生が「微信」(WeChat)を使う。日本では「中国版ライン」と訳されるが、実際はフェイスブックとラインの両方の機能を持つ。基本は友達内の情報交換なので、かなり社会問題や政治的な発言をする人もいるし、コメントを避けてスルーすることもできる。また「友達」なのだから、家族や仕事の自慢話もする。

一方で、お金への執着は変わらない。最近急増する中国人観光客を対象にしたツアーで、観光客から金銭を不当に得る悪質なガイドとなる中国人留学生はすでに珍しくない。さらに、中国の知人などのために、日本の化粧品・雑貨の「代理購入」に精を出して、ほぼ毎週郵便局へ段ボールを運んでいる留学生もいる。

留学生たちに「なぜ日本に来たか?」と聞いてみると、日本の「職人」精神を身に付けるとか、漫画が好きとか。どちらも本当の話だと思うが、日本は中国に近くて、留学費用も欧米よりだいぶ安い。特に女子学生の場合、日本の文化が好きだから、自分の目で見て、身を以て体験したいと考える人が多いようだ。

かつて中国の所得水準が非常に低かったので、日本に来てアルバイトを必死にして大儲けじゃない〜と思った留学生も結構いたが、中国の経済力も上がってきた上、過去の2年余りの間に、円安がどんどん進んできたので、日本で円を稼いで中国に持ち帰ることを考える人はかなり少なくなっていると思う。

ここ5年間に、1つ大きな変化を身近に観察されている。一部の留学生の両親などが日本にきて旅行をしたり、卒業式に出席している。かつて全く想像できなかった現象だが、最近騒いでいる中国人観光客の爆買い行動と一緒に考えると、隔世の感が湧いてくる。

 
 
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