1.来日の動機
私は、以前から日本の独特な伝統や文化に興味がありました。私の国とは対照的で、日本は島国で約270年間鎖国をしていました。日本の独特の文化が発展しました。一方、母国シリアはヨーロッパと東アジアの中間にあり、長い歴史のなかで多くの国が支配し、国名や領土も変化しています。多様な文化です。
特に、第二次世界大戦後の日本の目覚ましい復興にはとても興味がありました。それにより日本は戦後西洋化されましたが、先進国で伝統文化が残っているのは珍しいと思います。また日本は過去には太陰暦を使うなど、中東との共通点もあります。どちらの文化も共通しておもてなしの心を共有しています。
2.日本での活動
私は来日後、大阪日本語学校を経て大阪大学大学院に入学しました。そして学生生活を楽しんでいます。クラスの雰囲気はフレンドリーで、国際的です。世界各地からの学友と、後世のためにどのように世界をより良く、安全にしていけるかを日々、議論しています。
学生生活の他に、私は、小学校、高校、大学などの有名な学校や、笹川平和財団など複数のNGOなどでシリアについて講話をしています。私の講話に参加した方の評判を聞き、ありがたいことに口コミで講話の依頼を沢山いただきます。
日本人にとってシリアはなじみのない国なので、シリアの歴史や文化風習、自然、料理などを紹介します。そして、中東の和平と紛争について話します。初めは人前で話すと緊張をしましたが、慎重に答えるべき質問に答えたり、400人以上の聴衆に講話をすることで度胸ができ、さらに良くしようと、プレゼンテーションの技術を磨いていきました。中東からは遠い日本ですが、世界の諸問題にも関心を持つ手助けとなれば嬉しいです。
また、私が学生時代に取り組んだ(現在も取り組んでいます)中での一番の達成は、日本にシリア人留学生を増やすプロジェクトに参加したことです。東京で会議が数回ありました。私は、日本における、シリア人のより高い教育に関して、4項目からなるレポートを作成し、2016年3月に日本政府へ提出しました。
JICAとNGO や大学の教授たちの協力と連携により、私達はシリア人留学生のための日本の奨学金を、5つから30へと増やすことができました。日本および国際的なメディアが報道したように、JICAと文科省は2016年から2021年の間に150人のシリア人留学生を受け入れるよう決定しました。日本はシリアからの移民や難民をほとんど受け入れていません。もっと受け入れて欲しいと思いますが、このように「留学生受け入れ」という方法で150人のシリア人の将来が開けるのは、嬉しいです。
3.大学院での活動
私の担当教授をはじめ、教授たちは協力的で親切です。彼らは、私達学生の勉学に努力を惜しまず、難しい質問にも答えてくれます。そのうえ、私の専攻学科と同じような科目の、他の大学教授とも良い関係を継続しています。
大学院での私の研究テーマは「ヨーロッパと東アジアにおけるシリア難民の統合」です。データを集めたり、インタビューのために今年はオランダと韓国に行く機会に恵まれました。シリアの難民危機は、第二次世界大戦後最大です。各国が難民に対して違った政策をとっています。
私は、良い関係でいられる教授や世代を超えた友人、学友のみんなに感謝しています。そして、私をこの双日国際交流財団の奨学生に選んでいただき、心から感謝しています。私は、双日国際交流財団のご希望に添えるよう、全力で応えたいと思っています。 |