留学とは、自国以外の国に在留し、学術・技芸を学ぶことであり、学位取得を目的とすることのほかに、他国・地域における学習・異文化体験、語学の学習などを目的とすることである、と辞書を引いてみたら誰にも留学の定義を理解できると思いますが、長期間留学生として在日している私の視点から留学というものを様々な面から打ち明けたいと思います。
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留学は、新しい国へ移動し、新鮮なものを得られるのを想像しながら楽しんでいたのに、母国を後にして見送ってくれた母の顔を見た瞬間、目頭が熱くなったことに気づいた日です。
留学は、朝起きたら、「自分は今どこにいるのか、何をするのか」を自問して、雪が真っ白に積もった冬の窓を眺め、「将来のために、今日も頑張らなきゃ」と心の声に耳を傾けて強くなった日々です。
留学は、家族、友人、馴染みのある光景を離れ、見慣れない異国へ移動し、家族と一緒に過ごした日々を思い出したら、胸を突き上げて涙が溢れてきた日々です。
留学は、自分の大切な人がなくなる瞬間にすぐ傍に居られないことが怖くて眠れなかった日々です。
留学は、深夜2 時までのワークショップの夜であり、帰る地下鉄もなく、研究室に泊まり込んだ日々です。
留学は、外国語で文章を作成する時に、自分の伝えたいことを上手く表現できず、まとまりのない言葉で困ったり、感謝の言葉も美しく伝えられず苦労したりした日々です。
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しかし、「降られて踏まれて地は固まる」と私は確信しています。
留学も、外国を教科書で勉強することなく、実際の世界を自分の目で確認して多くの希望を持って挑戦してきた日々です。
留学も、いろんな出会いができて、血のつながりは関係なく、たくさんの「家族」ができて、かけがえのない存在で頼りになってくれた日々です。
留学も、双日国際交流財団をはじめ、各財団から経済面だけでなく精神面にも支えてもらった日々です。
留学も、母国にない文化や習慣を味わえて、刺激と新たな冒険になって自分自身の世界観・価値観をより良い方向に変えてくれた日々です。
留学も、当たり前のことはいつか当たり前でなくなってしまうことを知り、人への感謝が心からできるようになっていた日々です。
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私は留学して良かったと思う瞬間は自分自身の成長に気づいたときであり、ベトナムにいる家族、友達、恩人、自分を取り巻くすべての人へ心から感謝の気持ちを持つようになりました。いくら辛いことがあったとしてもそれは試練であり勇気を出して立ち向かって努力していくと達成したときは本当に喜びます。
人生には様々な選択肢があります。それに、自分の選択したものから、「得るもの」と「失うもの」があるのでしょう。私は留学して後悔したことがありません。人生「失うもの」があるからこそ「得るもの」があり、それすべては人の思い出になります。留学から「得るもの」−「失うもの」の答えは人それぞれあるかと思いますが、私個人にとって自分の選んだ道しか、幸せになれない、つまり最初から正しい道を選ぶのではなく、自分の選んだ道を、努力を払って「正解」にしていくことは留学を通じて学べました。
留学している方または留学を考えている方へ 諦めたい時には諦める理由でなく、最初に始めた理由を思い出して続ける理由を探しましょう。
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