日本は例のない深刻な少子高齢化に突入し、この先数年で人口は急減し超高齢化社会になると予測されています。一方で外国人留学生を含む外国人労働者が毎日増えつつあります。日本政府は外国人の積極的な移民政策は取らないと主張してきましたが、現状は約200万人以上が日本に在留しており、人手不足時代の働き手になっています。日本政府のこの主張は外国人の定住を認めないということではありません。実は大学卒業者やホワイトカラーの分野については日本の外国人労働者受け入れは他の先進国よりも進んでいるといえます。例えば、外国人がアメリカの大学を卒業しても企業で労働ビザが出ないのはよくある話です。一方、日本の場合は日本あるいは海外の大学を卒業し、日本企業で就労したい場合、就労ビザが発行されます。
一方、大卒ではない人については、就労許可も下りず、定住も認められないのが現状です。最近日本に留学する人の多くは、アジア地域の途上国からの人です。彼らは自国で高校を卒業し、留学先として日本を選んで日本に来ますが、母国語や第二外国語でもない日本語で学ぶことはそう簡単ではないため、多くの留学生のそもそもの目的が勉学ではなく、留学という手段を使った出稼ぎだと思われます。稼ぐとしても在留資格上、週28時間以上の労働は法律で認められていません。異国で生活し、学校の学費を支払うためには28時間の労働では足りないのは当然です。それを知りながらも働かないと生きていけないので、2箇所、3箇所で働き稼ぐ留学生もいます。日本政府もこれを見て見ぬふりをしているのは、働き手がいない中、単純労働者として留学生を活用できているからだと思われます。マクロでみれば、外国人が増えることで、人手不足の解消ができ、企業の労働力にはなってくれていますが、政府が政策を作る際、現場に何が起きているかも知らなければなりません。しかし、留学生の立場からみれば、大きな夢を抱えて来たのに、日本語能力が足りないため、大学に入れず、入り易いとされている専門学校に入ったが、卒業後企業に就職するために、就労ビザを申請しても下りません。これはある意味学歴差別だと言えます。
私の知っているある人は、2013年に来日し、日本語と進学の受験勉強のためにある日本語学校に入学しました。日本語学校に通いながら、個人の生活、学費や進学のための学費も稼がなければと、たくさんアルバイトしましたが、日本語力不足で希望した大学に入れず、専門学校に入学しました。専門学校2年生の時ある企業から内定をもらい、就労ビザを申請しましたが、業務内容と専門が一致しないとされ、就労が認められませんでした。しかし、彼は日本に残りたいと更に専門学校に入学することにしました。
上記の様な悪循環の留学生をたくさん見てきました。私見ではありますが、日本政府は外国人を受け入れるなら、受け入れ後の対策も考えなければなりません。このようなことでは、外国人労働者を受け入れても単純労働者として受け入れないと言いながら、留学のために来日した外国人留学生が「働く留学生」だといえます。このように積極的に移民を受け入れないと建前では言いながら、働く留学生が毎年右肩上がりしていることは「日本の隠れ移民政策」だと思います。このようでは外国人留学生が来なくなると予想されます。単純労働者として扱うのか、大卒と同様で就労可能にするかしなければ、現場の痛みは解消されないと思います。
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