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奨学生エッセイ
2020年度
 
奨学生エッセイ
 
 
 
留学したおかげで自主自立の気持ちを持った
台湾出身/ 2019年4月来日
神戸大学大学院 人間発達環境学研究科 博士前期課程1年在学中
趣味:バレーボール、陶芸
将来の夢:穏やかな人生を過ごす
研究テーマ:高齢者を対象とした熱中症発症リスクの空間分析
 
 

私は末っ子なので、子供の頃からずっと両親や家族の庇護のもとに育てられた。恥ずかしくも思っているが、大学を卒業するまでも一人でバスに乗ったことは一度もなかった。信じられないほど守られていた人生を過ごしてきた。しかし、大学卒業に近づくとやはり自分の将来のことをいろいろ考えさせられた。将来はレールの敷かれた道に歩んで行ってでも良いのが、私はそうしなかった。「私は家族と離れたらいったい何ができるか」と言う疑問が心の底から浮かんだ。そこで、日本に留学しようと決めた。その途端、私は初めて自分の人生の主導権を取り戻した。

来日してから初めて親と離れ、自分で生活することを経験した。日常生活はもちろんのこと、生活に対する態度や自分の考え方など全て変わり始めた。私自身の経験を基に、留学生活で教わったことをみんなに共有しようと思いながら、このエッセイを書いている。

まずは、『自分のプライトを捨てる勇気を持たせられた』。国にいる頃、親は何でも手伝ってくれるので、生活に対する不安感はあんまり経験しなかった。家族以外の人にお願いをするような状況も一度もなかった。そのため、自分はどちらかというと社交的ではないし、むしろ人と関わるような関係を本能的に抵抗する。家族に頼るばかりで、自分のできない、あるいはやりたくないことがあったら、いつも誰かがやってくれるのを待つだけ、わがままな性格に養成した。しかし、日本に着く時点から、そんなに甘えさせてくれる人はもういないということを意識した。そこで私は問題を乗り越えるため、他人にお願いする勇気を身につけた。

また、『人間関係に対する態度、周りの人に配慮するような振る舞いをする』。日本に来て誰一人も知らない日々を過ごすのは寂しい限りだ。どうしても1日も早く友達を作りたいという意欲が上がった。私は最初の一年間、日本語学校で勉強していた。そこで、いろんな国の人と出会って、いろんな人と交流できるような機会があった。しかし、人間はよく自文化の価値観で判断したり、行動したり、喋ったりする。そこの人達はそれぞれ違う文化や価値観を持っていて、いつ、どういう風に、誰かの気に障るのか、全く予測できない。それを意識して、相手の文化や価値観に添って判断し、他人に不快感を与えることのないような交流をしようと心がけた。そこで、あることに気づいた。人種や年齢を問わず、相手のことを心からリスペクトすれば、彼らを通して自分の知らない世界が見えてくる。

最後に最も重要なことは、『責任を持って自分の問題を解決する力』を身につけた。確かにもうすでに大人だし、こんなことは言うまでもない話だろうと思われるかもしれないが、実は私が強調したいのは「責任を持つこと」。なぜかと言うと、人間ってよく何かの失敗に落ち込んでしまう、あるいは自分の失敗を他人のせいにする。しかし、じっくりと考えてみれば、失敗は人生にかけてよくあることだ。もしも、他人の意見を受け入れたから失敗したとしても、その前にするか・しないか、と言う選択は自分の意志で判断したものだろう。自分の不足に目を背けることなく、かわりにそれに直面し、いかなる方法も試しながら成長させる勇気は最も大事なことであると思う。

終わりに、この文章を読んでいただいた人達に伝えたいのは、ある先生に教わったこと「失敗というのは一時的な状態だけ。なので、自分なりの努力をして、いろいろ試して、それでも出来なかったら、又々別の道があるから焦ることはない」。

 
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