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家とその外の世界
イギリス出身/2019年10月来日
北海道大学 現代日本学プログラム3年在学中
趣味:DTM(パソコンを用いて音楽を作ること)
将来の夢:社会学・政治経済学に関する研究
 
 

「家」とは何であろうか。狭い概念ではないのではないか。家といえば、うち、家庭、ある人あるいは人たち、慣れ親しんだ料理、町あるいは国、などである。しかし、本質的には、家は誰かが「帰る」ものだと思うのだ。

もし、「帰る場所」を「家」と定義するならば、「家」は「外」なしには存在できない。外とは家の外に存在することである。外は家と全く異なり、危険な、恐ろしい、及び美しい世界だ。外は、人々が挑戦するための場所である。家という快適な境界線から離れ、成長する場所である。

「家」は「外」なしには存在できないように、「外」も単独で存在できない。なぜなら、「家」という基準点がなければ、外での成長が実感できないからだ。僕の経験では、長い間離れていた家に帰り、故郷、家族、友達を久しぶりに見、「外」での経験から自分がどれだけ変化したかわかるのだ。

確かに注目すべきは、家というのは変化しないところではないということだ。むしろ、どこも同じように変化しているかもしれない。しかし、家はどんなに変化しても、重要な基準点であることに変わりない。なぜなら、変化した家は、外に飛び出さなければ自分がどのように変化していたかを教えてくれるのだ。

僕は2017年に、ワーキングホリデービザで初めて来日した。それまではコックとして働いており、日本食やそれをめぐる文化に魅力を感じていた。来日したのは、観光客ではなく、居住者として日本料理とその文化を肌で感じたいと思ったからだ。異文化への適応、異国語の習得は挑戦的だった。しかし、その経験を通し、自分の人生の方向性を見出すことができた。興味深い日本文化についてより深く学ばせる北海道大学での留学プログラムを見つけた。この時点で、ビザの期限が迫っていたので、帰国し申請を済ませることにした。

帰国した「私」は、一年前に来日した「私」と大きく異なった。しかし、そのような自分の変化にすぐに気づけなかった。実際に、気づくのに時間がかかったのだ。友達や家族は、私が自信を持ったのを指摘し、日本へ行ったことを勇気だと言ってくれた。勉強や大学受験における規律や集中力を褒められた。本当に、そのような褒め言葉をあまり真剣に受け止めていなかったが、時が経てば経つほど、僕の中で、何かが大きく変わったことに気づくようになった。

自分自身に自信が持てるようになり、以前より多くのことが簡単にできるようになったことに気づいた。自習にも力が入り、大学受験への勉強もより集中できるようになった。コックの仕事に戻ると、同僚との協力、及び客とのコミュニケーションをうまくできるようになった。気持ちは帰国してから「かなり成長した」という実感が湧いた。

また、帰国したことで、家に対する感謝の気持ちがより一層深まった。それまでは、故郷は当たり前のものだと思っていたが、夜の10時まで降り注ぐ夏の太陽、ビクトリア朝やエドワード朝の建築物、おいしいビールが飲める伝統的なパブ、毎日雨が降る週、というものにどれだけ感謝するようになってきたか、言葉で伝えられない。それに気づいたため、日本に戻って勉強を始めることは特に難しかった。

2019年末に来日して以来、コロナにより、帰国することができなかった。そのため、家に帰ることでもたらす成長の実感は3年くらい前から感じられなかった。しかし、来月、久しぶりに夏休みで帰国する。この外に長くいる私が、どのように変化してきたのか、ある意味予測できるような気がするが、行ってみないと本当にわからない。きっと驚くことがあるのではないかと思う。

 
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