私が故郷の中国を離れて日本の地に足を踏み入れたのは、既に四年前のことになります。その初めての一歩は、新たな風景と可能性を求める一方で、混乱と迷いに満ちたものでした。母国での大学生活は、想像していたようには進まず、私は心の中で無数の問いを抱えていました。そのような時、新たな道を求めて日本への留学を選びました。
今私が大阪大学で専攻しているのは、言語学、その中でも特に認知言語学です。この学問は人間の認知過程を通じて言語現象を探るもので、目の前の事実を覆す新たな視点を提供してくれます。私が特に注目しているのは、嘘とミスリードに関する研究です。これらは日々の生活で無意識に遭遇するものですが、その背後にある複雑な認知メカニズムを解き明かすことで、我々のコミュニケーションの理解を一段と深めることができます。
一方で、母国中国における言語学の研究は、主に生成文法を主流としています。生成文法は理論的な骨格に基づいた研究が行われており、多くの学者たちがこの視点から言語現象を解析しています。しかし、認知言語学は言語を単なるシンボルやルールの集合体ではなく、人間の経験や思考、認知の産物として捉え、より実生活に即した視点から言語現象を研究するものです。その魅力と可能性を理解した上で、私はこの新たな視点を中国の言語学界にも取り入れてほしいと強く願っています。
留学生活の中で、私の心に新たな情熱を植え付けたのが映画鑑賞です。日本の映画館では、古典から現代まで、世界各地の映画が頻繁に上映されています。特に、デンマーク出身の映画監督ラース・フォン・トリアルの作品の美しい視覚表現と深いメッセージが融合した独特の世界観に、心から引き込まれています。
日本での留学生活は、一筋縄ではいかない日々です。時には孤独感や戸惑いに襲われることもあります。しかし、そんな中でも、新たな研究の道、新たな趣味、そして日本という新たな舞台は、私に成長の機会を与えてくれました。これからも私は、異なる文化背景を持つ人々の橋渡しとなることを目指し、認知言語学を通じて言語の本質を追求し続けます。
なお、留学生活では、ただ学問に打ち込むだけでなく、日本の文化にも触れる機会があります。一つに、先生に連れられて滋賀県大津市で能楽の鑑賞を経験しました。能楽の洗練された美しさと深淵なる静寂は、私にとって全く新たな文化体験でした。これらの経験は、私の視野を広げ、異なる文化の理解を深めることを可能にしました。
この留学体験は、私の人生に新たな章を刻むとともに、更なる挑戦へと導くことでしょう。今後も私は、異なる文化間の橋渡しとなることを目指し、言語の本質を追求し続けることを誓います。
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