ホーム サイトマップ
ホーム 財団案内 財団ニュース 助成案内 よくあるご質問 お問合せ
助成案内
助成事業について
助成実績
助成募集要項
奨学生エッセイ
2025年度
 
奨学生エッセイ
 
 
 
日本で暮らして感じた野良動物との距離
中国・内モンゴル自治区出身/2022年9月来日
早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科 修士2年在学中
趣味:ライブ、読書
将来の夢:たくさんの場所に行って、自分の生き方を見つけたい
研究テーマ:異なる制度環境における環境リスク認知がごみ分別行動と意図に与える影響
 
 

日本に来てから二年以上が経ちました。日々の生活の中で、私が特に印象に残っているのは、野良猫や野良犬の存在です。中国では、外に出ればすぐに野良猫や野良 犬に出会うことができます。私は猫が好きなので、いつもカバンに猫用おやつを入れておき、道端で猫を見かけるとよ く餌をあげていました。時には、猫がいつもいる場所を覚えて、わざわざ回り道して会いに行くこともありました。多くの中国の野良猫は人に慣れていて、近づいてきて足にすり寄ったり、可愛らしく鳴いて餌をねだったりします。そんな日常のやりとりが私にとって大きな癒しになっていました。

しかし、日本に来てからそのような体験はほとんどありません。まず、野良犬を一度も見かけたことがなく、野良猫の数も非常に少ないと感じます。たまに見かけたとしても、すぐに逃げてしまい、人間を警戒しているようです。日本に来て最初に住んでいた場所では、近くの住宅街に数匹の野良猫がいて、完全に人懐っこいわけではありませんでしたが、触ることはできました。学校の行き帰りに彼らに会うのが楽しみでした。しかし引っ越してからは、近所の団地にも猫はいますが、どの猫も人を見るとすぐに逃げてしまい、距離を感じます。人間との間に、目に見えない壁のようなものがあると感じました。

もう一つ印象的だったのは、日本の野良猫の多くが耳に小さな切れ込みがあること、そして「餌やり禁止」と書かれた看板を頻繁に見かけることです。初めは戸惑いましたが、調べてみると、日本では「TNR(捕獲・不妊手術・元の場所に戻す)」という制度が広く行われていることを知りました。耳の切れ込みは、手術済みであることを示す印な のです。また、無責任な餌やりによって猫が増えすぎたり、近隣とのトラブルになったりすることを防ぐため、あえて厳しいルールを設けていることも分かりました。初めて耳が切れている猫を見たときは少しショックを受けましたが、それが「人間によって守られている命の印」であると知り、安心もしました。

一方、中国では多くの人が自発的に餌を与えており、それ自体は優しさの表れですが、避妊手術が行き届かず、野 良動物の数が年々増えているという現実があります。猫たちが人に甘える姿は微笑ましいものですが、それが必ずし も猫たちの幸福につながるとは限りません。中には、交通事故に遭ったり、病気になっても助けてもらえず苦しんでい る猫も多くいます。

日本の制度は一見冷たく見えるかもしれませんが、野良動物の命を「守る」という点では、非常に理にかなった方 法だと感じました。無責任に餌を与えることではなく、繁殖を抑制し、苦しむ動物を減らすという姿勢は、動物と人間が長く共存していくために必要な考え方だと思います。行政、地域住民、ボランティアが協力しながら命を見守る仕組みは、中国とはまた違った「優しさの形」だと感じました。

今は直接的に行動できることは少ないかもしれませんが、日々の生活の中で動物たちの存在に目を向けることを大切にしたいと思っています。中日両国の違いを通して、人間と動物がどのように共生できるのかを改めて考えるようになりました。これからも、動物たちが安心して生きていける社会、そして人間と動物が共に穏やかに暮らしていける未来を願っています。




通学路で毎日会っていた猫たち

 
| 次のエッセイ
 
ページのトップへ
   
ご利用条件 個人情報保護について Copyright (c) 2003- Sojitz Foundation. All rights reserved.