高校時代から、K-POPは私にとって喜びの一つでした。熱心なファンというわけではありませんでしたが、音楽を楽しみ、人気グループを時々フォローする程度でした。インドネシアでは、明るくてキャッチーな楽曲を気軽に聴く、日常の彩りのような存在でした。
しかし、日本に来てから、その印象が大きく変わりました。
日本での留学生活が始まってから、様々な国籍のK-POPファンと出会うようになりました。毎日のように新しいカムバック情報やアイドルの近況、コンサートの話題が飛び交い、最初は聞き手に回っていましたが、次第にその熱意に影響されるようになりました。ある日、友人に誘われてK-POPのコンサートに参加し、それが私の考え方を大きく変えるきっかけとなりました。
その最初のコンサートが、すべての始まりでした。
それ以降、みずほPayPayドーム、ベルーナドーム、東京ドーム、ヤンマースタジアム長居など、日本各地のコンサート会場を訪れるようになりました。中でも最も印象的だったのは、日産スタジアムで72,000人の観客とともにSEVENTEENの公演を観た瞬間でした。
当初は軽い関心から始まったK-POPへの興味が、次第に深いものへと変化していきました。グッズを収集したり、舞台裏の映像を視聴したり、ライブ配信に参加したり、日々アイドルの情報を追うようになりました。ただ音楽を聴くだけではなく、その背景にある努力や人柄、物語に心を動かされるようになったのです。
特に驚いたのは、日本のファンの熱意と忠誠心の強さでした。インドネシアと比較して、日本のファンは長時間列に並び、複数の公演に参加し、高額なグッズにも多くの金額を費やしています。K-POPグループによっては、韓国よりも日本で多くの公演を行う場合もあります。TikTokでは、コンサートグッズに20万円以上費やすファンの動画を目にし、「なぜそこまで?」という疑問が湧きました。
マーケティングを学ぶ学生として、私はK-POPを異なる視点から見るようになりました。アイドルたちは単に音楽を売っているのではなく、自らの人生を共有しています。ライブ配信や舞台裏の投稿、個人的なメッセージを通じて「自己開示」を行い、ファンとの距離を縮めています。これは従来のエンタメ業界ではあまり使われてこなかった戦略で
あり、「パラソーシャル関係」という一方的ながらも深いつながりを生み出し、購買行動に大きな影響を与えるのです。
この気づきが、私の卒業論文の出発点となりました。
私は、K-POPアイドルによるSNS 上での自己開示がどのようにパラソーシャル関係を強化し、それがどのように衝動買いにつながるのか、特に「本物らしさ」や「共感」が重視される日本に焦点を当てて研究することにいたしました。
研究を進める中で、自分自身の体験――コンサートへの参加、グッズの購入、アイドルへの関心――が、まさに論文の中で扱っている概念と重なっていることに気づきました。それは単なる学術的な研究ではなく、非常に身近で、実感を持てるテーマとなったのです。
このテーマは、最初から計画して選んだものではありません。日常の中で生まれた疑問や興味から自然に形づくられたものでした。このプロセスを通じて、たとえ何気ない趣味であっても、それが人生の大切なテーマへと発展する可能性があるのだと実感いたしました。
一枚のコンサートチケットが、私の成長と学問的関心の両方を導いてくれました。だからこそ、この研究は私にとって非常に意味深いものとなったのです。
 ENHYPENコンサート@ベルーナドーム2024
 NCT DREAMコンサート@東京ドーム2024
 SEVENTEENコンサート@日産スタジアム2024
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