東北大学で1年半ほど研究助手として勤務した後、再び学生として大学に戻りました。もっとも、大学を離れていたわけではないので、「正式に」博士課程の学生として戻ったという方が正しいかもしれません。引き続き保健・医療科学の分野に所属していますが、研究テーマは高齢者の健康とテクノロジーから、認知神経科学へと変わりました。認知神経科学は修士課程でも取り組んでいた分野です。高齢化社会やテクノロジーの進化を考えると、高齢者の健康とテクノロジーの研究は非常に重要です。しかし私は、イノベーションの応用よりも、脳の仕組みやその社会的機能など、より根本的なメカニズムの解明に強く惹かれ、再び認知神経科学の分野に進むことを決めました。
現在の研究テーマは「孤独感」で、これは修士課程のときと同じテーマですが、今回は日常的な社会状況における孤独の理解に焦点を当てています。孤独感とは、友人や同僚、社会的なつながりの中で「自分は所属していない」と感じる主観的な状態と定義されます。研究のきっかけとなったのは、「孤独な人でも実は正確に表情を読み取ることができる」とする2つの論文との出会いでした。従来の研究では、孤独な人は表情の読み取りが歪んでいて、それが社会での不適切な行動につながると考えられてきましたが、その2つの研究はこの常識を否定しました。そして、孤独な人の表情識別を妨げているのは「社会的プレッシャー」かもしれないと指摘し、過去の研究結果の食い違いをうまく説明してくれました。社会的プレッシャーとは、他者の目を意識しすぎたり、失敗できないという緊張感が高まるような状況を指します。孤独感の理解が深まることで、よりよい社会的支援のあり方を考える手がかりにもなると信じています。
この博士課程のプロジェクトは、私にとって初めて自ら主導した研究です。研究費の申請、必要な事務手続き、参加者の募集と調整、すべて自分で行いました。また、実験中はチームをまとめながら進行管理を行いました。現在は、データ収集が完了し、分析の段階に入っています。この経験を通じて、研究スキルだけでなく、プロジェクトの運営やチームのリーダーシップといった実践的な力も身についたと感じています。これらすべてが、研究者としての自分を育ててくれた大切な経験です。この過程で、研究の計画立案力や問題解決能力など、学術的な基盤も一段と強化されたと感じています。将来的には、この分野で得た知見を社会に役立てられるような応用にもつなげていきたいと考えています。
これが今の私の日本での生活です。少しずつ、研究者としての道を歩んでいます。ただし、研究活動ばかりに偏ってしまうと、生活のバランスが崩れてしまいます。健康的な生活のためには、学業以外の時間も大切です。最近は、花見やお菓子作り、友人との交流なども楽しんでいます。こうした時間が心のゆとりを生み、研究への集中力にもつながっていると実感しています。研究も生活も、どちらも全力で楽しんでいけたらと思っています。
 実験
 花見、千本桜
 チョコキャラメルバー
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