ホーム サイトマップ
ホーム 財団案内 財団ニュース 助成案内 よくあるご質問 お問合せ
助成案内
助成事業について
助成実績
助成募集要項
奨学生エッセイ
2015年度
2014年度
2013年度
2012年度
2011年度
2010年度
2009年度
2008年度
2007年度
2006年度
 
奨学生エッセイ
 
 
 
日本での3年間の生活で手にした大切なもの
バングラデシュ出身。2005年来日。
立命館アジア太平洋大学アジア太平洋マネジメント学部アジア太平洋マネジメント学科3年在学中。
研究テーマは日本企業と海外企業との技術経営比較(ソニーとサムソン、アップルなど)。
趣味は読書(経済に関する著書、国際問題の新聞記事と雑誌)、学生との国際交流。
 
 

 私は3年前に来日しました。日本についての知識をあまり持たずに来たので、知らない場所で少なくとも4年間生活をしなければならないということに対して、様々な不安を感じていました。例えば、学校生活に関しては友人を得ることができるか、勉強についていけるか、日常生活においては文化や習慣の違いを克服することができるかなどです。

そして、実際に日本での生活を始めてみて戸惑うことがたくさんありました。なぜ日本人は、はっきりと答えを出さないのか、なぜ言動が一致しないのかなど、細かく挙げていけば数え切れないほどの様々な疑問と不満が出てきて、故郷が恋しくなることも多々ありました。その上、母国との文化の違いでも、さまざまな不安を感じていました。

その中でも一番戸惑ったのが家族や家庭、親族関係の考え方の違いです。バングラデシュでは、家庭とは結婚や他の関係で結ばれ、一緒に、時には離れて住んでいる人同士が帰る場所です。家族と親族関係はバングラデシュ社会では生活の核として機能しています。バングラデシュでは家族とは同じバリ(日本語で家という意味)に住んでいる人々のことをいいます。バリとは同じ経済協力、結束、社会的アイデンティティーを持つ人々によって構成される生活の基礎集団のことです。家族関係により結ばれ、2つ以上の家庭によって構成されているバリもあります。一般的には結婚した息子は妻と共に、彼の父親が生きている間は、彼の両親と同居します。結婚した息子が彼の両親と離れた所で家庭を作ったとしても、父親の権威の中で暮らしているということに変わりはありません。一方、私が見た限りでは、日本では祖父や祖母と暮らすことが少なく、家庭のほとんどが核家族でした。この違いが一番ショックでした。

しかし1ヵ月、2ヵ月と日本で生活するうちに友人ができ、先生にも恵まれ、日本の文化、習慣について学ぶ機会もできました。そうすると、それまでの不満の理由が次々に解消されていき、日本的な考えもずいぶん理解できるようになりました。そして自分にとって新しい発見だったのは、異なる文化圏に来て初めて、故郷のこと、自分のことについて深い理解を得ることができたということです。つまり母国の文化に慣れ親しんでいたうちは理解したつもりになっていたものが、異なる文化と接して比較することによって、明確に理解することができたのです。そして最近思うことが、それぞれの文化によって1つの同じ物事に対する反応は、怒ったように見えたり、何も思っていないように見えたりと一見異なるように見えます。しかしそれらの行動の根底にある要素、感情といったものは、大変近いものがあるということです。来日した当初、何か不満にぶつかるたびに、日本は変わっていると思っていた私にとって、このことは大きな収穫でした。

最後に、これまで母国のバングラデシュを離れて、日本での生活で感じたことを述べてきました。このことは、ただ日本に対してだけでなく、多様な国の文化理解に対しても役立つことだと思います。母国と異なる文化圏である日本で、この留学を経験して得ることができた知恵は、これからの自分の生活において大きな財産となるでしょう。

 
前のエッセイ | 次のエッセイ
 
ページのトップへ
   
ご利用条件 個人情報保護について Copyright (c) 2003- Sojitz Foundation. All rights reserved.