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日本人の優しさ
中国出身。2003年来日。
大阪大学外国語学部国際文化学科3年在学中。
趣味は、読書、映画鑑賞。
将来の夢は、中日友好に役立つ日本語教師になること。
 
 

私は日本に留学しようとした時、周りの友達や親戚に「日本人が怖い、日本に行ったら、殺されるかもしれないよ」と猛反対されました。しかし、私は自分の意志通りに行動するタイプの人ですので、みんなの反対の声に揺られずに、日本語に全く通じない状態で来日しました。私は他の留学生より1ヶ月遅く来日したため、クラスに入った時、みんなはすでに1ヶ月の課程を終えたところでした。クラスメイトのみんなは中国人ですが、親しく対応してくれるどころか、先に声をかけてくれる人さえいなかったです。その頃、日本語に通じない辛さと友達がいない寂しさを生まれ初めて味わいました。辛くて、寂しい私は来日後毎日泣き出しながら、「日本に来なかったらいいのに」と後悔していました。

幸い、後悔する日々が長く続いていなかったです。ある出来事のおかげで、私は勇気を出すことができ、日本で頑張ろうと決心しました。それは来日1ヶ月頃のことでした。ある日、私は中国の友達に手紙を送るために、郵便局に行きました。あの頃の私は日常会話さえできなかったため、従業員にどうやって自分の意思を伝えるか全く分からなかったです。もしうまく伝えなかったら、怒られるかなと心配しながら郵便局に入りました。従業員のお姉さんが素敵な笑顔で挨拶してくれましたが、緊張しすぎた私は頭が空白になって、パニックの状態になってしまいました。従業員のお姉さんは私が日本語に通じない外国人だと分かって、すばやくペンと紙を取って、手の動きを合わせながら私に説明してくれました。しかも、説明してくれる間に、笑顔がなくなる瞬間が一度もありませんでした。そして、15分ほど経ってやっと手続きが終わりました。郵便局を出た後、私は涙が流れるほど感動しました。その時、「日本人のサービスがとてもいい、日本に来てよかったかも」と初めて感じました。そのきっかけで、私は再び明るくなり、クラスメイトにも話しかけるようになりました。みんなは私の変化をびっくりしたようですが、「なにかあったの」と聞かれたことがなかったですので、私も何も言わずに、ただその暖かさを心の中に収めて、みんなと楽しく勉強していきました。

私は徹底的に日本人に心を開けるようになったのは、西嶋というおばあさんに出会った後のことでした。来日2年目の夏に、私はニーショーというスーパーで働けるようになりました。そこで、西嶋さんに出会いました。西嶋さんは私のことをよく理解し、仕事も、勉強も励ましてくれました。一番私を感動させたのは2004年の年末のことでした。ある日、私はスーパーの着替え室で仕事の準備をしていたところに、西嶋さんは入ってきて、きれいに包んでいた封筒を渡してくれました。私は西嶋さんの許可をもらってすぐに開けてみると、新しい千円札が2枚入っていました。「これは王ちゃんのお年玉だよ。少ないけど、おばあさんの気持ちだから、好きに使ってくださいね」と西嶋さんは言いました。私は自分が西嶋さんにかわいがれていることが分かっていましたが、お年玉までくれるなんて全く考えられなかったです。驚いたというか、喜んだというか、自分が感謝の言葉さえ言えなくなり、涙が流れました。西嶋さんは私の涙を拭きながら、「泣かないで、これから私は王ちゃんの日本のお母さんだよ、辛いことがあったら、なんでも相談にきてね」と言いました。それ以降、仕事がない日に、西嶋さんは私を連れて、自分の娘さんと一緒に食事したり、買い物したりしました。そして、私は大阪大学の合格通知書を受け取った日に、西嶋さんは私より嬉しくて、涙が流れながら「いい子ね、よく頑張ったね」と褒めました。今でも、私は西嶋さんからもらった2千円のお年玉を大事に収めています。ある人が「ただの2千円じゃないか」と言うかもしれませんが、私にとって、この2千円はただのお金ではなく、西嶋さんからいただいた私に対しての熱意を込めた心です。西嶋さんとの出会いよって、私は「日本は怖い国ではない、日本人は悪くない、日本に来て本当によかった、正しかった」と思いまして、日本人に心を開けるようになりました。

しかし、私は日本人の優しさを中国の友達に伝えようとしましたが、結局信じられなくて、大けんかになってしまいました。将来日本人の優しさ、日本の素晴らしさが大勢の中国人に認められるように、私は日中友好に役立つ日本語教師になろうと決心しました。自分の夢を実現するのは極めて難しいですが、私は「世の中に難しいことはない、ただ心がけしだいである」という名言を信じています。自分の目標をきちんと決めて、決意を持って頑張れば、必ず成功すると思います。

 
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