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ベトナム人と日本人の国民文化
ベトナム出身/2015年10月来日
横浜国立大学 教育人間科学部4年在学中
趣味:本を読む、面白い人と出会う、筋トレ
将来の夢:ベトナムと日本の企業の協力に支援する頼れるサポーターになりたい
研究のテーマ:日本人と外国人労働者の共同作業環境問題と改善策
 
 

2018年に日本で就労ビザを取得したベトナム人の数は、昨年に比べ30.3%増加し、28,722人に達しました。これは、日本が高齢化の危機に直面する課題があるためです。これから日本で働くベトナム人の数が増えて、そのベトナムの人たちに関する研究の中にHofstedeのCultural Dimensions Theory理論が一番面白いとおもいます。本稿では、HofstedeのCultural Dimensions Theory理論に関する日本とベトナムの文化的側面の違いについて説明します。

ヘールト・ホフステード博士はオランダ・マーストリヒト大学名誉教授、経営学者、社会人類学者です。ホフステッドは米IBMの世界40カ国11万人の従業員に行動様式と価値観に関するアンケート調査を行い、1980年にはその国の文化と国民性を数値で表すことのできる「ホフステッド指数」を開発しました。

Hofstedeウェブサイト(2010)によると、日本とベトナムの文化的側面の比較は次の表の通りです。(1)

第一項目は、「個人主義‐集団主義」であり、人々は集団において独立しているか相互依存しているかどうかということがあげられます。北米、ヨーロッパ、オーストラリアなどの個人主義的な国々では、会社の従業員達は個々に独立して働き、自立し、結果を重視することを望んでいます。それに対して、アジア、アフリカ、南アメリカ、中東などの集団主義的な国々では、緊密なソーシャル・ネットワークの重要性が強調されていますが、人々はグループメンバーの世話を互いに行い、協調性を保ちながら仕事をする傾向があります。図からわかるように、日本とベトナムにはどちらも50ポイント未満の個人主義志向しかありませんが、日本はベトナムの2倍になります。つまり、ベトナムの従業員は、日本人の従業員よりさらに高い集団志向があるということです。日本はベトナムより発展しており、先進国は経済成長とともに個人主義的なポイントが高くなる傾向があるので、このことについては簡単に説明ができます。

第二に、権力格差とは、「それぞれの国の制度や組織において、権力の弱い成員が、権力が不平等に分布している状況を予期し、受け入れている程度」と定義されています。権力格差は、社会と職場における異なる階層レベルの人々の間の程度の差を表しています。インド、ロシア、フランスなどの強い権力格差の国では、会社は垂直方向の階層によって編成されており、情報の流れは上下間では制限されています。遠距離におけるオープン化は、開放性の低下、閉鎖性および非公式性を社員達の間に容易にもたらすこととなり、上司と部下の間の対立が避けられることとなります。逆に、デンマーク、イスラエル、スカンジナビア諸国のような弱い権力格差の国々では、企業は単一の階層によって保持されており、上司と部下の間に平等性があり、非公式性が奨励されています。ベトナムは日本より権力格差が強いため、ベトナムの従業員は日本の従業員よりも、力の重要性が強調されています。

3次元の不確実性回避という点においては、その国の文化的側面から見て、不確実性が受け入れられるかどうか、および、それが物事の曖昧さをどのように処理するのかという点についてご説明します。ギリシャ、ポルトガル、日本などの不確実性回避率の高い国々では、人々は失敗やリスクを極力恐れ、変化することを拒否する傾向にあります。彼らは、常にルールに頼り、不適合な事を処罰するため、職場でのストレスがより強くなります。しかし、ドイツ、香港、アイルランドなど、不確実性の回避度が低い国では、人々が柔軟性をより重視し、革新的なアイデアやリスクテイクを受け入れることで、人々は容易に成功します。グラフは、日本が非常に高い不確実性回避のポイントを持っているのに対して、ベトナムはそれより低いポイントを持っていると言えます。したがって、日本の従業員はベトナムの従業員よりも、はるかに多くの状況で不確実性を回避する傾向があると言えます。

第四に、「男らしさ/ 女らしさ」という観点においては、各文化圏における人々の人生観がどのように問題になっているのかを示しています。イタリアなどの男性的な国々では、社会や職場での物質的価値、達成度および社会的地位の獲得は、ほとんどの人々の願望であり、男性と女性の役割の違いは非常に大きいものとなっています。一方、北ヨーロッパなどの女性を尊重する傾向にある国々では、人々は生活の質と男女平等について共に配慮しています。不確実性回避、日本の男らしさの得点と同じ3倍のポイントを持つベトナム。このように、日本の従業員は、より重要なことと仕事の達成度に焦点を合わせているのに対して、ベトナムの従業員は人生そのものについてより重きを置いています。

最後に、長期志向は、忍耐や倹約といった「将来の報酬を得るために必要な活動」を志向する社会を表しており、短期志向は、伝統、面子の維持、そして付き合いを果たすといった「過去や現在に関係した活動」を志向する社会を表しています。(2)
中国、香港、台湾など、アジアを中心とした長期志向の国々では、最終的な結果を達成するための忍耐力を持っており、人々と信頼を築くのには時間がかかります。チャートでは、日本は非常に長期的な志向の国であるのに対し、ベトナムは長期と短期の中間にあります。その結果、日本の従業員はベトナムの従業員よりも長い道のりに注力します。

ベトナム人と日本人の間には、文化やコミュニケーションの面で多くの違いがありますが、両国は経済と人的資源に関して強い関係を築いています。将来的には、ベトナムと日本に関する話題がさらに注目されることとなり、それが二国間の関係強化に役立つことを願っています。

参考
(1)Hofstede(2010). Country Comparison. Retrieved 2010, from https://www.hofstede-insights.com/country-comparison/japan,vietnam/.
(2)Hofstede(1991), 邦訳, 176-177頁, Hofstede,et al(2010),p239

 
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