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世界人
セネガル出身/2015年4月来日
名古屋大学大学院 工学研究科 修士1年在学中
趣味:ロボット、テクノロジー、バスケ、筋トレ、哲学、議論
将来の夢:アフリカNo.1の自動車メーカーを創造する
研究テーマ:Future Map based model predictive control of multi-intelligent agents in a controlled environment
 
 

留学すると一番聞かれる質問は「どこから来ましたか?」だと思います。今までは自動的に「セネガルから来ました」と考えずに答えていました。最近になって思い始めましたが、厳密に言うと来日する前に最後に住んだ国はフランスで、セネガルには幼い頃と高校の3年間しか住んでいません。この質問の意図は出身地を知りたいから聞いているのか、所属している民族やグループ、文化や性格を知りたいから聞いているのかで答えは違うと思います。後者の場合、留学生のように長く旅している人の性格や考え方はほかの人に対してどれだけグローバル化しているかについて考えてみました。更に、母国に帰ってもどこから来ているのかと聞かれると留学先を言うかふるさとを言うかで迷いがちです。また、同じ民族の方には祖父の故郷のことを聞くことが多くて、同じ家族の方はブラッドラインのことを知りたがります。では、この質問に対しては何が一番相応しい答えになりますでしょうか。

まず、セネガリーズアイデンティティについて考えました。セネガルは西アフリカの国でおもてなし(テランガ)の国と言われます。地図から見ると、ライオンの頭の形をしていて、そのライオンの口となるものはガンビアという国です。


セネガルと西アフリカ諸国

セネガル人はライオンの性格で、集団行動が基本です。食事は大きい食器で地面に座って家族で食べることがルールです。セネガルは一夫多妻なので、家族の概念は広くて、祖父母、従兄弟、婚家と一緒に住むことも珍しくないです。しかし、セネガルは多民族国家なので、性格や文化的に共通の部分があっても言語や考え方、習慣と宗教的に違う部分も多いです。例えば自分の民族であるフラ族は牧畜の文化です。民族の中でも氏族があります。例えば、一部のフラ人はセネガル川沿い(北の方)で農家をしているが、多くのフラはノマドになっています。ノマドのフラは自分の家畜はほぼ家族扱いされていて、できるだけ食べないようにしています。また、ノマドの中でも、宗教的にムスリムが多いがそうでもない人もいます。そして、スキニーで背が高くてライトスキンなフラ人が多くても、南のフラ人にはムキムキで背の低い人が多いです。以上のことから、セネガル人の中でも民族、氏族、家族、宗教などによってアイデンティティが変わることが分かります。

小学校を卒業してから、コートジボワールという西アフリカの国に留学しました。文化、宗教、言語、見た目も違う国でした。コートジボワールでは7ヵ国から来た人と家族のようになれました。自分がセネガル人の特徴と思っていたことは少しずつその友達にも共通だと思い始めました。おもてなし、輪廻道徳、生きがいの概念とかも共通でした。子供の遊び方と性格まで同じでした。同じアフリカ人なので当然だと考えていましたが、高校を出てからフランスに留学したところ、またその考えが変わりました。フランスは経済的に発展している国で、西アフリカの国との違いが明らかです。ただし、セネガルはフランス植民地だったため、フランス文化からの影響が大きいです。言語は同じで発音が少し違うだけです。クラスメートとは仲良くて、見た目が違っても子供の時に見た懐かしいアニメや青春時代に聞いていた音楽、見ていた映画とかも同じでした。国籍にかかわらず考え方と文化の違いは全く違う人もいれば、同じ性格で親しみやすい人もいました。

来日したばかりの時は文化の違いにショックを受けました。その時は見たことのなかった風景と聞いたことのなかった言語になれていかないと行けなかった状況でした。それで、自分はセネガル人ではなくて、日本に留学したアフリカ人(場合によってアメリカ人)でした。とても目立つからどこから来ましたかと聞かれたら、「西アフリカから来ました」と答えがちでした。とても曖昧な答えですが、それで済むこともあれば、詳しく知りたい人は西アフリカのどこかを聞くこともあります。そうすると、セネガルのチェスという町から来ましたと答えますが、実家のチェスには3年間しか住んでいません。ある意味でグローバル人間だと思います。色々な国で色々な経験を積み重ねてきて、各国からその国の文化や習慣の一部に影響されてきました。ですから、自分のアイデンティティは新しい枠「世界人」に入るのではないかと思うときがあります。インターネットカルチャー、ネット経済(仮想通過など)、ポップカルチャーなどは、世界共通のものになっているから、国境を超えるアイデンティティがあると思います。

その中でも、自分の特徴であるセネガリーズ・フラアイデンティティを改めて探し当てる必要があると感じています。改めて、フラ語を勉強したり、文化と歴史について質問したりしています。なぜなら、世界人としてのアイデンティティ以上に、自分の家族のアイデンティティを理解しておかない限り、このエッセイで表現している不透明感が残ります。「どこから来ましたか」よりも「誰ですか」の質問の方に迷いなく正確に答えられるようになりたい気持ちが強いです。


みんなで食べるチェブジェン

 
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