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奨学生エッセイ
 
 
 
クールジャパン(カッコいい日本)vsクルールジャパン(ひどい日本)
インドネシア出身/2015年10月来日
九州大学 人文科学府 広人文学コース 博士課程2年在学中
趣味:読書、ゲーム、映画鑑賞
将来の夢:大学で教える、研究者
研究テーマ:アニメ聖地巡礼
 
 

日本では最近の流行り言葉の一つはコロナ禍なのではないかと思います。もちろんこの世界的なパンデミックの影響は計り知れないし、人によって影響の重大さがそれぞれだと思います。ですが、このパンデミックの中で一つ、だれでも感じたことのあることは移動の大切さなのではないかと思います。パンデミック前では様々な方法で我々は移動することが出来ました。同じ日に違う国に行くことも普通でした。ですがパンデミック以降では他の国どころか国内でも移動が難しくなったと感じる人もいるでしょう。パンデミックに対して国としてどう対応していくのかは国によって違います。ですがG7の国の中でも日本は少し特殊なケースです。国内の移動では厳密な制限がほとんどないことに対して国外から来る人の制限が大変厳しいです。我々日本研究者の間では”令和の鎖国“という言葉が流行っているぐらい日本の国籍を持たない人が日本に来るのが大変難しかったです。不可能といっても良いぐらい手順や必要な書類が複雑でした。問題なのは、これが観光客に対してだけではなく日本に勉強に行く人や日本で働く人も対象であることす。家族がばらばらになったなどという話はよく聞いていました。自分の研究室の新入生も数ヵ月前までは日本に来ることが出来ませんでした。日本研究者の間ではこれは大きな問題になっています。数十年前日本のポップカルチャーや文化に惹かれて日本のことを知りたくて日本のことや日本語を勉強する人が沢山いました。海外向けに日本に関しての情報を色々発信するという日本政府のブランディング政策、クールジャパン(Cool Japan) というのもよく言及されている言葉です。

ですが、最近では日本と同じぐらいのソフトパワーを持つ存在が現れました。K-POP や韓流ドラマの国際的な人気も大きな理由ですが韓国や韓国語に興味を持つ人たちが増えつつあります。数十年前に比べると日本の魅力が少し薄くなってしまいました。そして、このパンデミックが更に痛い打撃を与えました。世界中の各国がこのパンデミックに対しての対策を色々詮索しながらも日本政府が取った行動とはゼノフォビア(外国人排斥)による鎖国。日本在住の外国籍を持つ方々も最初は日本に戻ることさえ難しかったことに対して日本国籍を持つ方々は何もないかのように出入りすることが出来ました。ある程度の入国制限を設けた国々も沢山あったが、こんなにも長く不条理な政策を取った国はG7の中では日本のみです。結果として感染者数も徐々に上昇し続けたし海外から日本政府への信頼が徐々に落ちました。元々日本に関心があって仕事や勉強のために色々な準備をして来たにも関わらず日本に入ることさえ出来ないという方々が沢山いました。「仕事を辞めて引っ越しの準備も終わったのに…」や「日本にいないという理由で決まった奨学金助成が取り下げられる」などなどで苦しんでいた方々も沢山いました。今年に入ってからようやく入国制限が緩和されて少しずつ外国からの方が日本に入れるようになりましたがパンデミックの影響があまりにも大きい。クールジャパンがクルールジャパンになってしまいました。海外の教授たちからも元々日本学を専門にしたい学生達が韓国や中国に変更したという話もよく聞きました。今後の日本研究の未来も日本政府の行動に大いに左右されるでしょう。

 
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