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関節リウマチに関心があること
中国出身/2014年7月来日
広島大学大学院医 系科学研究科 博士3年在学中
趣味:読書、旅行
将来の夢:リウマチ看護の基礎教育や継続教育を広めたいこと
研究テーマ:関節リウマチ患者への看護実践技術を高めるICT 教育モデルの開発
 
 

私は、中国で看護師免許を取得後に渡日し、約一年間の留学生生活を送りながら看護師免許を取得しました。日本で看護師として働き始めてから、中国で学んだ知識だけでは十分な看護が実践できていないことを実感し、知識不足を認識しました。特に、関節リウマチという疾患への看護です。

関節リウマチは自己免疫疾患で関節痛、機能制限、関節の変形を伴う疾患です。発症原因が解明されず、完治する治療法がまだ確定されていません。従来型合成抗リウマチ薬(内服薬)は患者の臨床症状を著しく改善し、関節損傷の進行を遅らせましたが、薬の有効性にもかかわらず、多くの患者は炎症と進行性の関節破壊の臨床症状を経験し続けています。新たな細胞および分子を標的とする生物学的抗リウマチ薬(生物学的製剤)は従来型合成抗リウマチ薬よりも一般的に効果的なため、関節リウマチの治療は大きく進歩しました。生物学的製剤を使用すると感染リスクが高くなり、値段も高く、目に見えない間接費用などから関節リウマチ患者が体験する困難は少なくないです。

日本では、リウマチ疾患の専門職は日本リウマチ学会の認定リウマチ専門医制度だけではなく、日本リウマチ財団の登録医、リウマチケア看護師、登録薬剤師、登録理学・作業療法士の制度もあります。中国では、いろいろな原因で関節リウマチに対する認知率が低く、診断遅延の実態が生じています。そのため青壮年期から関節破壊と機能障害の進行で不自由になる患者は少なくありません。看護師教育においても同様に、日本のリウマチケア看護師が学ぶ知識や一般看護師が入手できる教材が少ないというのが現状です。そのため、中国にはない専門的で高度な技術を持っている看護師の教育に関心を持ち、先進的な医療技術を持つ日本では、関節リウマチ患者はどんな看護が必要であるのか、どんな看護を受けているのかを研究したく、2018 年度から研究生として広島大学大学院へ入学し、翌年度には博士課程前期へ進学して、留学生として関節リウマチへの看護に関する研究を開始しました。

私は、生物学的製剤の看護実践の既存研究より文献レビューを行い、関節リウマチ患者への看護役割に基づく看護実践技術を抽出しました。博士課程前期では日本リウマチ財団のリウマチケア看護師を対象に調査を行い、同職場に他職種の登録専門職がいるリウマチケア看護師の実践度が高かったことがわかりました。そして、関節リウマチ患者は多くが一般病院やクリニックで一般看護師から治療を受けることから、博士課程後期へ進学後には日本全国の専門資格を持っていない一般看護師を対象に調査を実施し、二つの調査データを統合して看護実践尺度を開発しました。また、リウマチケア看護師の実践力は一般看護師より高かったことが示唆されました。現在はこの尺度に基づいて全国どこからでも受講できるICT 教材を製作し、一般看護師を対象に教育介入の研究を行っているところです。一般看護師は関節リウマチ患者をケアする際に関節リウマチという疾患に対する意識や知識を高め、看護の質の向上に役立てることができ、より多くの関節リウマチ患者が生物学的製剤の治療をする時に適切な看護を受けられればと思います。

将来の研究では、専門医療職と連携している看護師の看護実践度が高かった具体的な内容を明らかにしていこうと思っています。研究だけでなく、関節リウマチ知識の周知などの教育活動にも力を入れたいと考えています。自身の研究を展開しつつ、成果を社会へ伝えられる研究者を目指したいと思います。

 
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