私の名前はガルバドラッハ・スウリである。4月から当財団の奨学金を頂いている。母国はモンゴルであり、現在横浜国立大学の教育人間科学部の3年生である。今年になり、特に日々成長し自立している自分を実感している。それは何よりも、日本で留学し一人暮らしをしながら、色々な人と出会い、毎日の中で自分の幅を広げることが出来ているこの環境があるからである。
2年半前に来日し横浜に来て、大学の入学手続きからアパート探しとすべてが初めてで、たくさんの不安を抱えていたことを今も昨日のことのように思い出す。第一、会う人が皆初対面の人々だった。その時感じたのは、彼らは私を一人の大人で「モンゴル人」と見ていたことだ。それまで親元を離れて自分に責任を持つことがなかったためどのように振舞ったら自分を理解してもらえるかがわからなかった。しかしそれが、自分に責任を持つことなんだと思う。私は、外国に来て、自分ひとりの損得で行動してはいけないし、私は「モンゴル人」という国を背景にして、日本でその背景に見合った姿を見せていかなければいけないのだという強い責任を感じ始めた。そして、当たり前だが親からの自立もそうである。その中で、勉学に本当に一生懸命に頑張っていくことが私にとって一番大切だ。こうやって留学し、自分の成長を実感することが出来るのは、両親が私を元気に育て、正しい道にいつも教え基礎を作ってくださってくれたからだと本当に感じる。また、留学生活の中で、大きな悩みとなった事は経済的な問題が一番大きいように思う。しかし、今回日商岩井国際交流財団の奨学金をいただくことになったことに大変感謝し、重ねてお礼を言いたいと思う。
私の将来の夢は、モンゴルに帰り、これから必要とされる資質や能力そして精神を備えた後世代を育成していくことだ。つまり、教育者となって能力と「社会へ貢献しようとする志」を持った人材を多く育てたいのだ。私自身、日本で初等教育を受けた。わが身で日本の教育を受けたというのは、私にとって日本とモンゴルの教育を見比べる目を与えてくださったと思うし、これを武器にモンゴルで教育者となり、たくさんの子供たちに伝えたいと思う。もちろん、現在大学に留学している間、そのための知識をつけたいと思っている。日本の教育の良い点や歴史を学び、現在何が問題になっているのか、そしてモンゴルはそこから何を学び、何に注意をおかなければいけないのかを考えたいと思っている。大学では、ただ授業を受けるのではなく、常に目標を意識し自分なりの視点を持って勉強しようと思っている。
上記にも書いたように、私は小さいころにも日本に滞在経験があるので、日本の悪いところも正直たくさん知っている。しかし、「日本はだめだ」と思った事はない。それは、やはり日本が好きだからだと思う。日本人は時代の発展とともに失ってしまったものもあると思うが、例えば仕事に関しても、何に関しても常識というものを一人一人が持ち、公を大切にする。そして、いつも控えめであり本当に努力する人々でいっぱいだと思う。仕事は本当に工夫をこなし、効率的に行うために向上心を持っている。だから、その社会から見落とすものは見落としても良いが、学ぶ事はとことんあるし、学びたい。正直、日本で生活していると私まで圧倒され、そのような習慣を身につけて毎日を充実させることが出来ている。留学するということは、異国で学ぶことであるが、やはりその国浸透し、その国を好きになり、習慣を感じ、楽しんでいくことで、かつ色んな経験をする絶好のチャンスだと身をもって感じている。ですから、このような機会に恵まれたことに感謝の気持ちでいっぱいだ。だからこそ、その感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思う。常に目標を持ち続けて、自分をしっかり持って生活したいと思うし、期待してくださる皆さんの期待に答えられるように努力したい。
改めて、日商岩井国際交流財団の皆さん、いつも本当にありがとうございます。皆様のご健康とご成功をお祈りいたします。
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