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「先輩後輩〜日本の不思議な関係」 ライ テイ フーン ニュン
ベトナム出身。2004年来日。静岡日本語教育センターを経て一橋大学大学院経済学研究科に在籍中。
研究テーマはベトナムへの外国金融機関の進出と国内企業の金融活動への影響。
 
 

私の国には先輩後輩という関係がありません。日本に来て初めて知りました。私たちベトナム人にとってそれは本当に不思議な関係です。日本に来たのは私の初めての海外経験です。来る前は知り合いが一人もいない国で、言葉も余り通じない国で、どうやって仕事を見つけて生活ができるのか、などいろいろな心配が頭を離れませんでした。私たちの心配がなくなったのは私たちが会ったこともなかったベトナム人の先輩たちが空港まで迎いに来てくれた時からです。先輩は手続きなどを全部やってくれ、私たちを東京から静岡にある日本語学校まで連れてきてくれました。先輩がいなかったら私たちが無事に静岡に着くことができなかったかもしれません。

私費留学生として日本に来た私たちは、アルバイトをしなくてはなりません。しかし、日本に来たばかりの時は、日本語が余り話せませんでしたから、一人で良いアルバイトを見つけるのは大変難しいことでした。その時先輩は自分のやっているアルバイトをやめて、私たちに譲ってくれました。そして、「私たちはもう日本にいる経験があるから、すぐ新しいアルバイトを見つけられるよ。心配しないで」と言って、私たちを安心させてくれました。そのお陰で、私の生活はすぐ安定しました。先輩たちはアルバイトをきちんとやっていましたから、アルバイト先の人たちは親切にしてくれました。私たちは先輩のアルバイトをひきついだ時、その人たちは「あのベトナム人の後輩だから、まじめに違いない」と信じて親切にしてくれました。そこで、働く雰囲気がとても良くて、やる気もいっぱいでした。とても嬉しかったです。

そればかりか、先輩は私たちに日本とベトナムとの異文化は何なのか、日本人はどんな面でベトナム人と違うのか、どうすれば日本人との関係をうまくやっていけるのか、などいろいろなことを教えてくれました。そして、一番大切な務めとして、多くの試験のための勉強を忘れないように、と注意したり指導したりしてくれました。先輩は後輩である私たちにとっては姉さん兄さんみたいです。私たちは今先輩の立場にもなりました。そして、先輩の気持ちがよくわかるようになって、後輩たちの面倒をよく見てあげています。私たちは一つの家族の兄弟みたいです。家族と離れて生活しても家族と一緒に住んでいると感じます。ベトナムには先輩後輩という関係がありませんから、私たちはベトナムに居たら、こんなに親しくなることはなかったかもしれませんが、日本に来て、日本の文化を受けて、先輩後輩の関係はなくてはならない大切なものになりました。

世界中でよく言われるのは、成功の一つの要因は友達である、ということです。友達という関係は好きなら付き合って助け合いますが、先輩後輩の関係は単に友達の関係ではなく、経験がある人と経験がない人との連帯感が強く感じられる関係です。このような人と人との結び付きを私たちは日本に来ることによって知ることができました。私たちはこれからも専門の知識を勉強するだけでなく、日本留学という貴重な経験の中で実感できる様々な文化を学んでいきたいと思っています。そして、まず初めの勉強は先輩後輩の関係です。私たちにとって先輩後輩という関係はとても不思議で大切な関係です。

 
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