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私はカザフスタン共和国からの留学生でプルマン・ナタリアと申します。現在、神戸大学大学院経済研究科において博士後期課程で計量経済学と統計推定理論を学んでいます。
博士論文は修士論文と論理的に繋がなければならないと思い、後期課程に入ってからも前期課程と同様に、推定量の統計的性質分析を中心にして研究を行うことにしました。修士論文テーマとして統計推定量の中からスタインルール推定量を選んで、この推定量の特徴と推定量の有効性に影響を与える要素について調べました。分析の目的によって、スタインルール推定量によって得られた予測値が普通な最小二乗推定量によって得られた予測値より確実性が高いと知られています。ただし、使われているモデルは正確にたてられていると言う条件を前提として置く必要があります。
残念ながら、正確なモデル設計は理想ではありますが、現実には有り得るケースが非常に限られています。研究者がモデルの説明力を高めるつもりで自分ながら重要と思い込んでいる被説明変数を加える傾向と、逆に高い決定係数値によって過剰評価を避けるために被説明変数を落とす傾向がしばしばみられます。結局、こういった特定化ミスのもとで、予測に用いる推定量の有効性は如何に変化するかを調べる必要となります。私は修士論文の中で、モデルに余計な被説明変数が入っている場合にはPRE-TEST分散スタインルールバイアス及び最小二乗エラーという比較パラメータの変動を分析しました。ある臨界値の範囲において一般計算によって具体的な結果が得られましたが、この範囲外の臨界値に対しての様子を調べるには数値計算をすることにしました。数値計算を試みた結果は臨界値の区間によって違っていましたので、最終的には幾つかの結論を纏めました。修士論文を書いている最中、困難なところ沢山がありまして、指導教授にご相談をいただき、大変お世話になりました。または、本ゼミ(統計理論)、サブゼミ(計量経済学)及び計量経済勉強会に数回発表させていただいて、教授と先輩から貴重なコメントと相談をいただきました。2005年2月、修士課程最終試験として修士論文の発表が行われました。
2005年4月から、博士後期課程学生として研究を続けることになりました。
最初は、修士論文の範囲でやるつもりでした課題に注目しました。それが、PRE-TEST
分散スタインルール推定量の線形損失関数FORTRANプログラムを構成して、その結果を解析する課題でした。数値計算の結果は元の直感予測とはずれましたが、結論を纏めて、ゼミで発表させていただきました。
今度は、スタインルール推定量の性質と誤差項の問題について考えることにしました。多くの分析においては、誤差項に関しては通常、平均が0、分散が一定の正規分布に従うという仮定が課されます。しかし、経済データを用いて回帰モデルを分析する場合、このような誤差項の仮定が必ずしも満たされるとは限らない。例えば、株式の収益率の分布は正規分布よりも厚い裾を持つ分布であるという実証結果が得られています。この非正規誤差項に関しては理論的に多くの論文で扱われており、スタインルール推定量の分析を行う際にもこの点が考慮されています。誤差項が正規分布に従わなければ、推定量のバイアスや最小二乗エラーがどんな傾向を持つようになるか、正規分布を仮定した場合に成立する結果がそのまま成立するか否かを調べることは、理論的にも、実証分析を行う際にも重要な問題となっています。
私は分析をしようとしているケースは誤差項間の自己相関があるという状況です。即ち、前時点の誤差項に含まれた情報が次時点の誤差項に影響を及ぼすような関係が考えられています。誤差項が独立でなければ、未知回帰係数の推定値が違ってきます。元々は適切な計算テクニックも一般ケースと異なります。推定を行う前に推定量を選択し、誤差項の関係条件を確認しなければなりません。しかし、データによって、誤差項はどんな過程に従うかを決めるのは困難のときもあります。この有り得る状況を考慮に入れて、誤差項条件が間違ったら推定量の統計的な性質が如何に変化するかを事前に知って置くのは重要だと思われます。私は書いている論文の中で二つのケースを取り上げる予定です。
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1) |
研究者は誤差項には自己相関があるのを知らず、代表的な縮小推定量の
バイアスと最小二乗エラーの傾向を調べようとしています。 |
2) |
研究者は誤差項の自己相関について分かっていて、適切だと思われるGLS方法を用いて未知回帰係数を推定します。最後に代表的な縮小推定量のバイアスと最小二乗エラーの傾向を調べようとします。 |
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これらの二つのバイアス傾向と最小二乗エラー傾向を比較ができましたら、誤差項前提ミスは未知回帰係数の縮小推定量への影響について結論を纏めたいと思います。
論文の可能な拡大として、OLS推定量を計算して、その統計的な性質を分析するのは考えられます。OLS推定量のバイアスや最小二乗エラーが導出して後、損失関数の力を借りて、縮小推定量とOLS推定量のリスクを比較するのも課題となっています。
今までの二年間にわたって日商岩井国際交流財団が奨学金を送ってくださったお陰で私は研究を中心にして大変充実した日々を過ごすことができました。本当に嬉しくありがたいことと深く感謝申し上げます。
これからも、力を尽くしてできるだけ有意義な論文を書きたいと思います。 |
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