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心のゆとりのある教育
カンボジア出身。2001年来日。新宿日本語学校、神田外語大学を経て筑波大学大学院修士課程地域研究科地域研究専攻東南アジア・南アジア研究コース修士課程2年在学中。
研究テーマはカンボジアにおける仏教の役割に関する文化人類学的研究。趣味はギターと旅行。
 
 

私は以前からある日本人の親子関係に疑問を抱いています。レストラン、特にファストフード系の店などではよく家族連れで食事をする客が多いですが、食後の片付けをするのはたいたい親、特にお母さんです。これは、子どもさんが小さい子でも中学生・高校生くらいの大きい子でも同じです。カンボジアでは親よりもむしろ子どもがやるのが良いとされます。

日本の家庭では子どもの勉強をとても大切にしているため、家事などは子どもに手伝わせないそうです。これは子どもからすればとても幸せなことでしょう。子どもは何も心配なことなく好きなだけ勉強することができるからです。またこれは子どもに対する親の愛情と献身の証でもいえると思います。これは教育熱心な日本人ならではの風習だと思います。

しかし日本の学校では以前からいじめや自殺などの問題が顕著です。生活の問題も殆どなくしかも献身的な親の愛情たっぷりの元で皆学校へ行けるのになぜいじめや自殺が以前にまして多発しているのか理解できません。また、世界にも誇れる教育制度を持ち、しかも人材も財力ももっている日本はなぜこのような問題を解決することできないのでしょうか。逆にカンボジアや他の発展途上国では日本のような問題は殆どありません。これはいじめや自殺に対する認識は国によって異なるから報告されていないかもしれませんが、カンボジアに関しては、私の経験からすれば見たことも聞いたこともありません。生活にも恵まれない家庭で育てられているため親の仕事などを手伝いながら学校に通う子どもが多くいるのに、いじめや自殺が多く存在していてもおかしくないのですが…。

いじめや自殺は複雑な原因が絡み合っているのは事実です。この問題を解決するためには様々な議論と政策が必要不可欠です。しかし、私はこれらの議論や政策も重要ですがこれよりも大切なのは社会全体が力をあわせることだと思います。文部省や学校だけではいじめや自殺の問題を解決するには不十分だと思います。各家庭もこれらの問題の深刻さを受けとめて積極的に取り組む必要があると思います。いじめや自殺が引き起こす一つ重要な原因は子ども自身の「心のゆとり」のなさだと思います。おそら人は何かの問題に直面している時にその問題に立ち向かうための心のゆとりが必要です。この心のゆとりがなくなった時に人は他人に対する場当たりあるいは自殺などを考えてしまうと思います。カンボジアでは学生のいじめや自殺が少ないのはおそらく皆勉強だけに落ち込まずに金や食べ物には恵まれないが、回りの友人との遊びや家事のお手伝いをしていて心のゆとりができるからだと考えられます。

日本は世界に認められる優れた教育制度があります。日本の学校は勉強ための材料であふれており、優れた先生方が数多く存在しています。多くの世界の人々が日本をあこがれて留学をしに来ています。しかし、日本の家庭はあまりにも学校の勉強を強調しすぎて人間の基本である家事や身の回りの片付けなどに関する教育を見過ごしているのではないのでしょうか。教科の勉強だけではなく料理の準備、食後の片付け、皿洗い、家の掃除など家事のお手伝いも重要だと思います。これらのことをすることによって家族のコミュニケーションが増え、またいろいろなことをすることによって自分の体の感覚・感情が生まれて、心が豊かになれるのではないでしょうか。少なくとも「料理が美味しいのは、中には数え切れない命と人々の努力が含まれている」ことくらいは認識すると思います。私はいじめや自殺を学校からなくすためには社会全体が一団となってこの問題に取り込まなければならないと思います。そして、「ゆとり教育」ではなく「心のゆとりのある教育」を実現させるべきだと思います。

 
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