私は、現在横浜国立大学の教育人間科学部の国際共生社会課程4年生です。私はこの「志」という言葉がとても好きなので、このテーマにしました。卒業後のことを考えている今、私の中で一番書きたかったことなのです。
私が日本に来た理由は、日本でならモンゴルよりも高い水準の教育を受けられ、大学の環境が整っていると思ったからでした。また、日本語は子供の頃から慣れ親しんでいたため、日本は私にとっては外国ではなかったからです。そんな理由で日本へ来て、この3年間で「同じ‘志’をもつ仲間」と出会い、私の夢や志は方向性をなして行きました。私自身、これと言って人より優れているわけではなく、ごく普通の日本人っぽいモンゴル人だと思います。しかし、環境もそうですが、人間の影響というものの大きさを感じます。私が「将来を明るく見、希望を見出す」ことができているのは、ごく普通の人間である私が、恵まれた環境の中で毎日を過ごし勉強し、さらに多くの同じ考えを持ち日本で生活している仲間に恵まれたこと以外ないだろうと実感させられます。
私の国、モンゴルは日本人から見れば「草原の国」として魅力を感じる国のひとつであることは大変喜ばしいことであると思います。反対にモンゴルの人々にとって日本は、逆に先進的な技術や社会を誇る「希望の国」として、たくさんの子供の夢の国となしています。両者はそれぞれの国にはないものに魅力を感じ、お互いに眼差しを向けています。「どちらがよいか」という問いは不要であるように思えます。
私の日本留学生活の中で感じることの中には、モンゴルは日本のようになってはいけないということも多少含まれることがあります。そして、日本では当たり前のことであることがモンゴルにはないように、取り入れたいものもたくさんあります。私自身、「人間」そのものに大変関心をよせていますが、異文化を持つ人々もそうであり、民族の中で何かを作り上げようとする団結精神もそうであるように、すべてにおいて人間というのは根本的に自分の考えの基づくならば、すばらしい事ができるものだと思います。けれども100%心を込めてできることも少ないと思います。ここで、私は大衆主義やグローバリズムを言っているわけでもなく、人間には自分自身をコントロールする精神が一人ひとりにあるということです。そして、一人一人のその心を育てることというのは「教育」であると思うし、教育が社会に反映するものも大きいと考えます。日本で教育を受ける中で、この教育の反映を強く感じています。ですから、卒業論文では「日本やモンゴルの教育」を中心にこのようなことを探っていきたいと考えています。
はじめにも触れたように、私自身は入学からのこの3年間で本当に大変身を遂げたのではないかと思います。というのは、個人としての自己形成を要されたし自分自身も自分を知り、視野を外にも向けることができるようになったと感じます。ある意味で「自立」し、人生をはじめ、将来を具体的に考えられるようになりました。「心の指すところ(こころざし)」を定め、明確にしたいと強く考えるになりました。
私の夢(志)は、今モンゴルの国つくりに向けられており、教育者になりたいです。日本では、モンゴルで暮らすよりもモンゴルを客観的に見、そして同じ志を持つ仲間がいて、さまざまな議論したりすることによって、より一層その夢は膨れ上がることができていると思っています。将来はまず、モンゴルに帰り子供たちと接し、学校教育の現状を体感し、日本語教師として経験を積みたいです。学校教育だけでなく、モンゴルにおける貧困者やマンホールチルドレンなどの子供に対するプロジェクトを立ち上げ、崩壊しつつある家庭から改善したいと思っています。教育はやはり、学校だけではないと思うし、社会の担い手となる人の思想や精神、志はもっとも大事だと思います。そのような心を育てるのに役に立つ人間になりたいです。そして、近年の人口の都市への急速な集中のなかで、田舎の教育制度が劣れつつあるように思います。モンゴルの広い大地を広く渡り歩き、さまざまな地方へ行き実際に授業をしたいという風に思い描きます。
しかし、夢ばかりでなく、実際に日本にいる時間や機会を利用し多くを学ばなくてはいけません。知識を身につけ、日本とモンゴルの橋渡しになれるような能力をすべての面で身につける必要があります。またその中で、人間関係というのはとても大事で、人間との出会いはそのまま私自身の行動範囲を広げ、いろんなことを教えてくれるものだと感じています。ですからこれからも、この出会いというものを大事にしていきたいと思っています。日本人、モンゴル人、また多くの他者を理解でき、その人間と人間をつなげられる役割を担いたいです。
残りわずかな大学生活の中で、1番に勉学(自分に残るもの)、2番にその他新しいことに挑戦、3番に人間関係を一生懸命に取り組みたいとしています。
大きな志と小さな毎日を両立して考える人に私はなりたいです。 |