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韓国のIMF体制による既成的価値観の浸食
韓国出身。2008年2月来日。一橋大学大学院言語社会研究科言語社会専攻3年在学中。
趣味は、DSLRカメラ撮影、社会人ロックバンド活動、ブログなど。将来の夢は、「ネットを媒介とする韓国と日本の大衆文化交流」の研究を代表するプロになること。
研究テーマ:韓国でウェブコミュニティーの運営などの実際の経験を基に、韓国のオンラインとオフラインの融合形態を研究する「ネトロポリタニズム(Netropolitanism)の構築」という理論を組み立てています。
 
 

世界は東西冷戦時代が終わり、中国という巨大な国家が世界市場に進出するようになった。中国の大量低価商品の拡張で東南アジアの国々は価格競争力を喪失し、貿易収支赤字が累積されたため、外資を誘致しようと自国貨幤の人為的な高評価政策を取った。これは急速な国家競争力喪失につながり、東南アジア経済圏は金融危機に至る。1997年7月に発生したタイとインドネシアの金融危機が、10月には香港と台湾に波及した後、11月には韓国まで連鎖的な国家経済の破産が発生した。

「漢江の奇跡」と呼ばれる急速な経済的成長を果たした韓国が、国家破産事態に直面するようになった原因は大きく二つに分析される。一つ目は、8%の単一関税率適用である。1993年当時の韓国政府は、黒字管理・物価安定・通商摩擦予防などのために2188個の品目に対し、一律的な8%の単一関税率を採択した。これは、その当時の日本とアメリカなどが主要品目に対して差等関税率を適用していたこととは配置される金融政策の選択であった。当然企業は収益を追い掛ける。韓国の多くの企業が、輸出を通じて外貨を積ぐより、収益が良い主要消費財(毛皮衣類、外国乗用車、ゴルフ用品など)の収入に専念した結果、1994年から経常収支(Balance on Current Account)の赤字が累積されることとなる。二つ目は、誤った為替政策である。1990年代に東南アジアに外為危機が感知された時、韓国は東南アジアの国家と同じく、1994年から韓国ウォンの価値を平価切上げさせた。1995年からは9.19%評価切下げしたが、これは日本円に比べて相対的に21.8%も高評価であった。それによって、輸出競争力が急激に落ち、企業の輸出採算性が急激に悪くなる事態に至った。その結果、韓国の主力輸出品である自動車・造船・鉄鋼・電子産業などが日本との競争で押さえられ、爆発的な貿易収支(Trade Balance)と経常収支の赤字を記録した。その結果、企業は連鎖的に倒産し、国家破産の宣告を受けることとなる。

このような総体的原因によって韓国は、結局外貨不足で1997年11月21日にIMF(国際通貨基金, International Monetary Fund)に流動性調節資金支援を要請する。そして、IMF管理体制の下で強力的な国家構造調整が実施され、多くの企業らが退出されたため、失職者が急増した。自殺する企業の社長や役員、外国に留学を送った妻と子供に送金ができず、「すまない」という遺書を残して死を選ぶ家長、家族に失職したということを言えなくて毎日朝にスーツ姿で近くの公園で一日を過ごすホワイトカラーの会社員、大卒の路宿者の話など..毎日TVや新聞などのメディアを通じて報道される悲惨な現実は、その当時、私の周辺の同じクラス友達にも起きた、近くて鮮やかな記憶である。

このような1980年代の軍事独裁時代を締め切って高度の経済成長を成し遂げた韓国の既成世代(Older Generation)の没落は、当時の10代から20代の若い世代(Younger Generation)に大きな衝撃と不信をもたらすこととなる。今も韓国社会で問題になっている、親と学校による熱狂的な「暴力的教育制度(The system of violent education)」の中の若者達は、そういう過酷な教育環境の中でも、社会的出世という「バラ色人生(La vie en rose)の指針書(Road Map)」としての漠然とした期待感と信頼感があったからこそ、忍耐することができたことであった。しかし、散々と崩れて行く残酷な灰色の現実を目撃した若者達は、韓国の既成世代に対し、大きな「既成的価値観の浸食(The erosion of existing values)」を感じることとなる。

この「既成的価値観の浸食」は、以前まで既成世代によって法的・社会通念的に禁じられてきた「日本大衆文化のメディアコンテンツ」への若者達の「接近(Approach and Access)」を促進、または加速化させる一つの重要なきっかけとなる。


 
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