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六年ぶりの帰国で感じた事
ウガンダ出身/ 2009年4月来日
東京工業大学大学院 理工学研究科電子物理工学専攻 修士課程2年在学中
趣味:ヨーロッパチェス、マラソン
将来の夢:エンジニア、大学の先生になること
研究テーマ:センサー用のローパワ逐次A-D 変換器
 
 

私が来日したのは2009年4月で、来日後に初めて母国ウガンダに帰国したのは2015年5月でした。信じられない事に、帰国するまでに6年が経過していました。ウガンダは日本と違い、小学生の頃から家族と遠く離れた場所で3ヶ月以上(一学期)を学生寮で過ごす事は珍しくありません。それでも、6年の間一切帰国しないという事は私には考えられないことでした。学校の寮で生活していた時には、たった3ヶ月にも関わらず、休みに入る前日の夜には眠れない事もしばしばでした。家族や親戚、村の人達に会う楽しみもあるし、他の友達がどう変わっているのかを見る楽しみもあったからです。しかし、今回は6年ぶりに帰国するという事もあり、実家に帰る楽しみな気持ちよりは緊張感の方が強かったと感じています。日本で長い期間生活を送った自分がどのように変化したのかを周囲に見られるという緊張感だったと思います。

帰国する準備を実際に始めたのは今年の3月頃でした。10日間という限られた休みが与えられている中で、できる限り有意義に休みを使う事のできる時期を選びたく、ゴールデンウィークに帰国する事にしました。この時期は日本から海外旅行に行く人も多く、航空券も高いだろうと予想していたが、幸いな事にエチオピア航空が日本発アフリカ行きのキャンペーンを行っていた為半額で旅行券を手に入れる事ができました。

そして帰国当日、なんと成田空港で6年ぶりに偶然に同級生と再会しました。お互いに6年前とはあまりにも変化していた為、初めは気が付きませんでした。6年ぶりに会った彼はすっかり大人の顔になっているのが印象的でした。「ケネス!!」、「アントニー!!」と驚きながらお互い、まるで6年の空白がなかったかのように話が弾みました。それぞれの6年間の変化を聞きあいながら帰国することができました。

飛行機の窓側に座り、飛んでいる最中は外をよく眺めていま私は昨年9月、新潟県にある国際大学・国際経営学研究科に入学し、日本での大学院生活を始めました。その前は金融危機後の2010年、まだ経済回復途上のアメリカの大学から奨学金を受け、アメリカに留学しました。最初はアメリカで経済原動力の強いテキサス州の大学で勉強し、その後イリノイ州の周辺部にある教養大学に転校して卒業しました。アメリカの豊かなところも貧しいところも両方体験した私は、世界最強の国とした。夜の風景の変化から町の発展の度合を予測する事ができるので、母国の夜景を確認したかったのですが、ウガンダ着陸時は残念ながらお昼でした。ですがよくウガンダに帰国する友人達から随分と発展していると言う事は聞いており、実際首都カンパラは自分の出身地であるにも関わらず迷ってしまう程でした。街中では来日前には見る事のなかったカフェやケンタッキーなどのファストフード店を見かけました。日本のように全国的に展開している訳ではないが、お店ができたという事だけでも自分にとっては感動的でした。家族と再会を果たし、子供が生まれていたり、白髪が増えていたりと、皆元気でしたがそれぞれが大きく変化していると感じました。ですが、家族に言わせると私自身の方がもっと大きく変化しているようでした。

10日間と短い期間のうちに、あるショックな出来事がありました。外出からの帰宅が21時を超えて、兄を怒らせてしまったのです。日本では昼も夜も外は明るいので、夜遅く出歩く事に慣れていますが、ウガンダでは治安問題を気にしていませんでした。短い10日間でしたが、時間の使い方や文化の違いを感じました。そして、日本に来た事について改めて考えるきっかけとなりました。やはり長く外国に滞在していると両国の性格を自分から切り離せなくなるという事に気が付きました。私よりももっと長く外国に住んでいる人達はより両方の国に属する気持ちを持つようになっていくでしょう。私は母国に行った時には日本が恋しくなり、日本にいる時には母国を恋しく感じます。子供の頃は「実家に帰る」、というと非常にシンプルでしたが、今「実家に帰る」と言われたら「どこの実家の事?」と聞きたくなります。来日から6年経った今、いつでも気持ちは日本とウガンダ両方にある、そんな事に気付いた帰省でした。

 
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