日本人が礼儀正しく、日本が魅力的な国だと思われております。日本人が感謝の気持ちを表す時に真っ先に出てくるのは「ありがとう」という言葉です。それでは、皆様はこの「ありがとう」の反対の言葉をご存知でしょうか? 「ありがとう」の反対の言葉と聞いて、パッと思い浮かぶ言葉は何でしょうか? おそらく多くの方は、「すみません」という言葉と思うかもしれませんが、「すみません」といった言葉は相手に詫びる時などの表現であり、「ありがとう」の反対語ではなさそうです。それでは、「ありがとう」の反対の言葉とは一体何でしょうか? 私は「ありがとう」の反対語が「当たり前」と日本人の指導教員に教えていただきました。このエッセイで「当たり前」というテーマについて個人的な意見を述べさせていただきたいと思います。
海沿いの小さな町で生まれ育った私は、子供時代、両親が農業に従事し、家族の経済を支えていたため、両親に様々な家事の手伝いをしなければなりませんでした。そのために、友達と遊ぶことは少なくなり、学校をサボったりして、両親によく怒られました。当時の幼い私は歩けること、目が見えること、耳が聞こえること、呼吸ができることなど、生きていることが当たり前で、私を生んでくれて、一生懸命育ててくれたことが当たり前と思い込み、いつも怒られるので、両親のことを憎んでいました。今でも思い出すと、あの時「こうしておけばよかった」と後悔ばかりでした。毎日笑ったり、泣いたりして生きていることは当たり前のことでなく、もしかしたら奇跡の連続かもしれないので、今生きていることに心より感謝しており、精一杯生きることを大切にしたいと考えております。
親元から離れ、初めて日本に留学したことは時をさかのぼってもう6年前の話でした。この6年間のことを振り返ると、様々な支えの中で歩んできたと思います。私は来日したばかりのころに、日本語も出来なく、周囲の日本人に話しかけられても日本語で返事すらできなく、引きこもった日々もありましたが、素晴らしい日本人の方々に積極的に話しかけていただいたお陰で、日本語コミュニケショーン力が徐々に上達できました。私費留学生である私は母国の仕送りがいただけないため、アルバイトをしながら、生活費と学費として自活してきましたが、アルバイト先の店員さんは皆親切でいて下さいました。私は現在、大学院に在学しておりますが、学部時代で奨学金を受給したこともあり、経済的な負担が少なくなったお陰で、自分の勉学に専念でき、無事に大学を卒業することができました。それで、留学生である私にとって、奨学金受給という制度の大切さに気付かせていただきました。
そして、この度双日国際交流財団の奨学生になったことは、私にとって非常に光栄だと思っています。私にとって皆様と様々な交流ができ、大変勉強になる機会だと思います。双日国際交流財団の奨学金には経済面だけでなく、精神面にも支えられるものと私は考えております。それはきっと当たり前のことでなく、様々な方々にご支援いただいたお陰で、今日の私がおります。心より感謝を申し上げたいと思います。 |