私は新疆ウイグル自治区カシュガル市出身です。カシュガル市はシルクロードに位置している重要な町の一つです。子供の時は、祖父の体調がよくないため、病院通いすることが多かったです。その頃から、将来医者になり、祖父のような病気で苦しんでいる人々を助けたいという夢が心に生まれました。夢を叶えるため、一生懸命勉強し、2009年に新彊医科大学医学部に入学しました。大学の色々な授業の中では日本から帰国した先生の講義が一番印象的でした。何故ならば日本の先進知識を教えてくれるとともに留学生活での人生経験もシェアしてくれたからです。そして、私がインターン時代には手術中の神経機能モニタリングの重要性に気が付きました。新彊医科大学卒業後、世界でもトップレベルである日本の医療技術を学びたいと思い来日しました。
留学生として日々の勉強と研究の中、想像もしていないことにチャレンジして、異なる背景からの人と出会って、貴重な人生経験を得ることができました。その中で、私が一番感じて、一番重要なことと思っているのは善です。
「善・学校篇」
日本に来たばかりの時、日本語は簡単な自己紹介と挨拶だけできるレベルでした。研究室での先生とうまくコミュニケーションを取れるだろうか、専門知識を理解できるだろうか、研究は順調に進められるだろうかと頭の中は心配なことだらけでした。
幸いなことに、初めに挨拶に行った日には、教授はとても親切に話してくださりました。そして、他の先生の前で日本語で自己紹介をしたら、皆様が笑顔で「日本語は上手ですね」と言ってくれました。また、「何か困ったこと、わからないことがあったら言ってくださいね、英語で説明しますので」と先生が言ってくれました。私はとても感動しました。ぜひ一生懸命頑張って成績を上げる気持ちがもっと強くなりました。
私はカンファレンスに参加するためと研究データを集めるために大学病院に行く場合が多いです。病院は社会の窓口の一つとなると思います。その中で重要なポジションを持つのは先生の方という事はまちがいないでしょう。私の心に残ったのはどの科に行っても先生達の患者さんを助けている姿、どんな質問をされても詳しく説明してくれている熱心さ、いつも患者さんの立場に立って考えている気持ちです。
善について「老子」の言葉にこのように記述されています。「上善は水の若し、水は善く万物を利して而も争わず、衆人の悪む所に処る、故に道に幾し」。私にとって医者は「上善若水」を現せている品性をお持ちの人です。
「善・生活篇」
留学生として日本の伝統的な文化を勉強するのも重要なことと思います。私は子供の頃から料理を作る事に興味をもち、いつも母親の料理を手伝うのが好きでした。日本に来てから日本の茶道の美しさがとても印象的だった為、茶道の勉強も始め、基礎の点前をできるようになりました。私はイスラム教徒ですので、日本の食品の多くは食べられないため、最初飲食問題も大変でした。この事を聞いた茶道の先生が、「何か困ったことあればいつでもいいですので、相談に来てくださいね」と言ってくれて、いつもイスラム教徒の食事習慣に応じたお菓子をつくってくれました。また、茶道知識だけでなく歴史も詳しく説明してくれて、日本の豊かな歴史の理解を深めることができました。
「居は地を善しとし、心は淵を善しとし、与るは仁を善しとし、言は信を善しとし、正は治を善しとし、事は能を善しとし、動は時を善しとし」。
将来は日本で学んだ知識、技術を母国に持ち帰り、「水」の様な善良人になり、医療医学の発展に尽力し、少しでも病気で苦しんでいる患者さんの力になりたいと思います。
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