私が日本に来るのは今年が2回目で、2015年の夏にきた時と比べると、様々な変化に気づきました。その一つは日本に来る外国人の数です。2020年のオリンピックの影響もあり、観光客の数が増えています。海外の大学の先生方の話を聞くと、15年前は千葉の近郊へ行って欧米人を見ることはとても稀だったそうです。今は田舎に行っても私のようなヨーロッパ人と出会うことは珍しくないことです。この変化は、グローバル化の証拠の一つです。観光客との共通語は勿論英語です。日本を訪れ、道を尋ねるときに英語が通じ、駅や街で英語や自分の母国語の道案内があれば、日本に来る不安が減って日本を楽しめる機会が増えるでしょう。さらに、もし日本人と自然に会話ができれば、日本への興味がさらに増すと思います。
日本の経済にとっても英語は必要です。例えば、再び観光客についていえば、お店で英語を話せる店員さんがいて、英語で日本らしい丁寧な接客ができれば売り上げも増えるでしょう。レストランでも同様です。英語で料理の材料や由来を説明できれば、そのお店の料理をより一層楽しめるでしょう。観光客だけではなく、大企業や官公庁でも英語が使われているのは事実です。日本の友人に聞くと、英語が話せないと大企業や外資系企業には入れないことが多く、活躍するためには語学スキルは必要不可欠であるという意見を耳にします。2020年のオリンピックの影響もあって、現在では小学校でも英語を勉強している生徒が増えているのは、そのニーズを表していると考えます。
一方で、長期間、他の国に滞在する場合は、英語だけで生活するのは難しいでしょう。今まで日本で出会った外国人の中には大きく二つのパターンがあると考えています。一つは日本に来る前や日本に着くとすぐ日本語を勉強して、簡単な会話だけでなくビジネスレベルの日本語をも習得する人です。二つ目のパターンは10年ぐらい日本に住んでも日本語を話せず、漢字も読めない人です。英語は大事ですが、やはり日本に引っ越して長期間いるならせめて日本語で日常的な会話ができる努力はしないといけないと思っています。
グローバル化の時代は全員が英語を話すことを求められるというだけでなく、他国に行ったり、暮らしてみたり、その文化や雰囲気を楽しめる機会が増す時代だと思っています。そのために英語だけではなく、他の言語を話せることも大事だと思います。私は日本語を勉強するたびに、日本の文化や歴史、考え方、働き方の違いについても学びました。その知識がないと日本語を話す人と完全に通じ合うことは難しいと思っています。例えば、先輩と後輩の関係です。ドイツにはその文化はないため、知らないと正しい敬語や話し方が分からないでしょう。AIが開発され、将来は、言語能力は重要でなくなるという意見を最近よく聞きます。私はその考えには共感していません。大まかな意味を理解するためにはAI は役に立つと思いますが、上述した通り、翻訳では言葉のニュアンスや意味を完全に理解することは難しいと思うからです。
ドイツでは、3ヶ国語や4ヶ国語を話せることは珍しいことではありません。しかし、アジア系の言語をビジネスレベルで話せる人はまだ多くいません。現在は技術発展のおかげで、電子辞書やインターネットを駆使して自国にいても他国の言語を勉強することがますます容易になっています。このチャンスを活かして日本語をはじめアジア系の言語に興味を持つ人が増えるのは、グローバル化の一つの利点だと考えています。仕事に必要だからというだけではなくて、日本の文化や暮らしを楽しみたいという気持ちを持って勉強する人が増えると嬉しいです。
グローバル化によって、国境という概念が薄らぎ、国々の文化や言語が共通化されるという意見もありますが、私の考えは、それは少し異なります。英語を共通語として使うことは利便性が高まり良いことだと思っています。ただより一層深く他国を理解するためには英語だけでは不十分です。
グローバル化の時代の中で国を跨いだ人々の繋がりは強くなっており、その関係を深めるために言語を勉強することは不可欠です。
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