日本人から見ると外国の食文化がありえないと思うときがありますが、その逆の外国人から見て日本人のありえない食文化もあるはずです。このエッセイで日本とベトナムの食文化について、少し考えたいと思います。アジアの一つの国であり、中国から、そして植民地統治時代のフランス文化などの様々な影響を受けているベトナムは日本と共通点が多くありますが、両国には相違点も少なくありません。
食文化というと、材料、調理方法、器具、食習慣など様々な角度から見ることができますが、下記、両国の家庭料理について、比較させていただきます。
まず、日本では朝食は家で食べ、お昼はお弁当で、夕食は外食する人が多いです。それに対して、ベトナムで出勤時間は結構早く、学校は7 時から始まり、会社と企業などは遅くとも8時半ですので、朝食はみんな外で食べ、昼食の時間は家かお店で過ごし、5時ごろ仕事が終わったら、市場へ行って食材を買って家で晩ご飯を作って食べます。
つきましては家庭料理の味ですが、日本人の味はベトナム人の味より比較的濃いと言えると思います。ドレッシングなどで味がつけられるのをよく見かけます。日本のドレッシングは焼き肉のたれ、生姜焼き、すき焼きなど、それぞれの料理に専用のドレッシングがあり、非常に発達し、種類も豊富です。これに対して、ベトナム料理は主に魚の醤油(ヌックマム)と塩という2つの調味料で味が付けられ、あまり濃くなく、あっさりしています。また、日本ではあまり使われていませんが、ベトナム料理に欠かせないものはパクチーです。ベトナム人は香草が大好きで、パクチーは大好きな香草の中のひとつです。他の食材の臭みを抑えたり、味のアクセントにしたりとさまざまな料理の上にのせます。
次に盛り付けについてですが、日本人は目で食べると言われているように、どのような料理でもきれいに盛り付けられます。また、小皿や器が多く利用され、その形や柄も非常に素敵です。器そのものは豊富であり、季節に応じ選ばれます。また、色も落ち着いて重みを感じさせる厚い材料の焼き物が多いです。皆、それぞれ自分の器が決まっているように見えます。しかし、ベトナム人はよく大きい器を使い、それにいっぱい盛り付け、家族全員がその共通のお皿からとって食べます。
ベトナムの料理の数も日本ほど多くありません。大体、ご飯、おかず(1つか2つ)、とスープが家庭の食事を構成します。また、日本人は刺身、明太子などのような生ものが得意ですが、ベトナム人はちゃんと煮えていないと抵抗があります。
最後に食べ方について説明したいですが、日本人はどうも一人分はお盆一枚で決まっているようで、みなそれぞれその範囲の中で食事します。しかしながら、ベトナム人はご飯茶碗でおかずと食べてから、最後にスープをそれにかけ、残ったご飯と食べます。特にご飯を何回もおかわりすることができます。若者は普段ご飯一膳では足りませんので、2、3膳食べるのがほとんどです。
このように、食文化における両国の相違点があり、日本に留学をし、日本の食文化に接する機会のおかげで、日本の食文化が理解できるだけではなく、自分の国の食文化についてもこれまで当たり前のようなものをより深く理解できるのではないかと考えます。
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