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日本に10 年以上住んで思うこと
マレーシア出身/2013年3月来日
名古屋大学大学院 工学研究科 博士後期課程2年在学中
趣味:料理、旅行
将来の夢:研究者、日本語スピーカー
研究テーマ:有機合成から面白い新しい分子を作る
 
 

正式に日本に来てから10 年以上になるが、今が振り返るいい機会だと思う。これほど長く日本に滞在するとは思ってもみなかった。2013 年3月に成田空港に降り立った私は、そのまま名古屋に向かい、名古屋大学で化学・生物工学科を専攻した。正直なところ、同じ仕事(勉強)をしていて、よくこれだけ長く名古屋で生活できたなと今でも不思議に思っている。しかし、初めて名古屋に来たときから比べると、ずいぶん成長したと言えるし、世界中からたくさんの友人ができた。というわけで、長い間日本に住んで感じたことを話したいと思う。

日本は、いくつかの不満や文化的障壁がありながらも、質の高い生活と快適な住環境を提供してくれる。特に、イスラム教徒の女性として、慎みと用心深さに重きを置いて育った私にとって重要なのは、治安の良さだ。マレーシアでは、特に夜間は常に用心していた。しかし、日本にきて、子供や年配の女性が暗い道を一人で歩いているのを見て驚いた。最初は躊躇していたが、すぐに日本がいかに安全であるかがわかった。今では、夜中に研究室から帰宅しても安心できるし、平和な夜の散歩を楽しんでいる。犯罪は存在するが、マレーシアにいたときのように日本で身の危険を感じたことはない。この安全性のおかげで、私は常に怯えることなく生活することができている。私が日本を好きなもうひとつの理由は、その清潔さだ。日本を訪れたことのある人なら誰でも気づくかもしれないが、東京という大都会でさえ、ほとんど清潔で、無菌状態に近い。まあ、外国人が多い東京の一部を除けば、ほとんどと言ったところか。さらに、ゴミの分別も徹底している。日本に来て数日後、名古屋市内を散歩したとき、道にゴミ箱が見当たらなかった。その時、私は空のおにぎりの包み紙とペットボトルを1 時間以上持ち歩き、必死にゴミ箱を探していた。結局、コンビニでゴミ箱を見つけたが、驚いたのは、ゴミ箱が種類ごとにまとまっていることだった。その時、私はルールを知らなかったので、全部一つのゴミ箱に捨ててしまった。幸い、親切なおばあさんが正しいゴミの捨て方を教えてくれた。

友人や家族から、日本人との交流についてよく聞かれる。世界中の人々がユニークな背景や資質を持っている一方で、日本人は外国人に対して特に控えめであることに気づいた。最初の数ヶ月は、現地の人に近づいて親しくなるのは難しかった。会話を始めるのは簡単だったが、より深いつながりを築くには数ヶ月から数年かかった。これは日本の「ウチ」と「ソト」という概念に関係している。「ソト」から「ウチ」に移るには、時間と努力が必要だ。日本での親密な関係はやりがいがあるが、発展させるには忍耐が必要だ。にもかかわらず、私は信じられないほど協力的な本物の日本人の友人を作ることができた。

この10 年間の日本での旅を振り返ってみると、個人的にも仕事面でも、自分がいかに大きく成長できたかがわかる。日本での生活でこれほど視野が広がり、多くの経験と知識を得ることができるとは想像もしていなかった。治安の良さ、清潔さ、ユニークな文化体験は、予想もしなかった形で私の人生を豊かにしてくれた。慎みと遠慮を重んじる私の信念は、尊敬と思いやりのある日本社会とうまく調和し、これらの原則を重んじる環境で成長することができた。

ここで得た経験、知識、友情を深く大切にする一方で、自分の努力、経験、知識をより良いものにするために、愛する母国マレーシアに戻りたいという気持ちもある。家族の揺るぎないサポートは常に私の土台であり、数々の困難を乗り越え、私の願望を形作ってくれた。次の章に目を向けるとき、日本で学んだすべての教訓が、私の将来にプラスの影響を与え続けると確信している。


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