私は日本に来てから4年間埼玉で住んで、去年の春から京都へ引っ越して住み始めた。京都へ初めて来たときには、「観光客向けばかり」、「祇園のような鼻が高い偉い方々の集い場」、「一見さんお断り」のイメージばかりで、引っ越しの前には心配したが、住み始めたら地元向けの店も多く、それなりに良いところで、以前に住んでいた埼玉と
比べるとコンテンツが溢れてきた。
文化財や博物館もその驚きの一つだが、私にとって一番目立ったのは食べ物であった。観光客向けの食堂や料亭のような高級料理店だけじゃなく、京都市内ならどこでも見かけられる志津屋のカルネからはじめ、私が住んでいる三条の辺りだけでも100年以上の老舗パン屋から京都で有名な焼肉の本店、ジェラートみたいなミーハーだけど地元向けの食べ物も充実で、自分の心を鷲掴みした宝箱みたいと思った。
ただし、京都市内での移動は極めて不便である。現在私が住んでいるところは、JR・阪急・地下鉄3 点のアクセスがいずれも徒歩10分程度で、電車で移動するには非常に便利だが、京都市内で電車が通る場所は少なく、市内のうちでどこかへ移動するためにはバスしかない。しかしバス代は高く、どのバスでも人が混雑しそんなに早くもないので、自分にとっては非常に不便であった。その故か、埼玉ではほとんど乗ってなかったが、引っ越してから食べ物を探るための「単なる移動手段」として自転車に興味を持ち始めた。
最初は中古のクロスバイクを買い、適当に市内巡りや通学用として使うつもりだったが、自転車で京都の道を通うとだんだん自転車の魅力にはまりはじめた。学校に行くときだけ考えても、6月の御池通のアジサイの見栄え、出町商店街の「出町ふたば」の大福とシーズンごとの限定菓子、またゼミ終わりに一乗寺にラーメンを食べに行くことなど、バスではできない自分だけのやり方で季節や町を肌から楽しめながら息抜きができた。このように自転車で市内を駆け巡ってからなおさら自転車へ興味を持ち、ついにロードバイクも買い京都市外にも駆け回り、自転車は息抜きを超え、「自分の体の一部」として席を占めた。
特にロードバイクを買った以降から、京田辺・高槻・奈良まで長距離ライディングも時々行いはじめた。この中から一番好きなコースは、自宅から片道1 時間半程度の宇治市の「たま木亭」まで自転車で走り、一休みとして近くであの店のパンを食べるのが何より楽しい。
しかしながら、京都の大通りでの自転車は疲れやすい。堀川や烏丸では自転車道路がない上、車が多く、隣で暴走するバイクでも通れば毎回怖くてソワソワする。小道に入っても、常に人や車が押し寄せて車が通るまで立ち止まらないといけなくて苦しい。嵐山・伏見稲荷・清水寺などのような伝統的な観光地はもとから人が混み合っているから納得すると言っても、今はどこでも観光客ばかりで混み合い、堀川より東ならどこでも自転車で通りにくい。その故か、今頃はうるさい場所から抜けられる長距離ライディングがお好みになった。
他にも、天気や事故にも気を遣わないといけなく、自分への安全にも万全にしないといけないが、他人の目を気にせず、自分だけのペースで行きたいところへ。自由はロードバイクからのおかげであり、一人だけの生活でも彩を与えてきたのは間違いない。 |