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6年間でたどり着いた私なりの公式
モンゴル出身/2019年4月来日
東北大学大学院 情報科学研究科 修士1年在学中
趣味:音楽、ヨガ、文学
将来の夢:モンゴル国電子開発通信省の大臣になること
研究テーマ:ゲノム解析を用いた精神疾患の発症メカニズムの解明
 
 

留学で得たことを一つ挙げよと言われたら、私は「自分の人生の公式」と答える。それが、私の6年間かけて辿り着いた唯一の答えだからだ。

日本に来たばかりの私は、ただ「日本への留学」だけがすべてでした。留学さえできれば、世界が開けると信じていた。けれど、いざその場に立ってみると、留学という目標を果たしたその先に、自分が何をしたいのかがわからなくなっていた。目の前の目的を達成したあとに訪れた空白に、私は迷子になっていた。

コロナ禍の遠隔授業で、自分と向き合う時間が増えた。その中で、ふと思い出したのが、モンゴルの有名な詩人の 一節だった。

「幸せとは何か?勉強することと目標に達すること。それだけ」

当時の私にとって、たった一つの答えは「とにかく一生懸命勉強すること」だった。「せっかく日本に来たのだから、一生懸命やるしかない。」そう自分に言い聞かせ、私は講義動画を3度見返し、必死にノートをとり、成績1 位をとった。その日々の中で、私の「努力」によって得られる充実感を知った。けれども、心の奥に空白が埋まらなかった。

そんな時、私はモンゴルの歴史と文化に改めて出会いました。偉大な詩人や、国を背負ってきた人々の哲学に触れ、「私にも受け継がれているものがある」と気づいた。「なぜ私は日本社会に馴染めないのだろう?」と言う疑問に 「モンゴル人であることは、誇りなのだ」という確信が返ってきた。それは、私の祖先たちが積み重ねてきた知恵から生まれた「心の安心感」だった。けれども、私の中には将来に対する不安が残っていた。

大学3年、私はスタートアッププログラムに参加してみた。一人の留学生だった私は、日本人の同級生たちのアイデアに強い刺激を受けた。火星探査ロボットや火星居住者向けのMRI開発など、世界の科学を前進させるような夢を語っていた。そして彼らは、何か一つを極め、深く愛していた。その姿に心から尊敬を覚えた。

そして私は「モンゴルで半導体工場を作りたい」と考え、モンゴル人と連絡を取ってみた。しかし、返ってきた言葉はこうだった。

「モンゴルは毎日停電だよ?チップ工場なんて無理に決まってる。」

悔しかった。火星の未来を夢見て語る彼らと、停電に悩む私の世界は、あまりにも違っていた。その時に、私は自 分に問いかけた「自分は、夢を持っていいのだろうか?」と。けれど、その問いが私の決意を生んだ。私は、夢を追うことが特別ではなく、当たり前である社会をモンゴルに作りたい。

モンゴルには、海外で学んで帰国し、IT 企業を興したいという若者が多い。けれど、電気がなければ会社は動かな い。エネルギーがなければ、技術は進まない。私と同じような迷いや苦しみを、次の世代に味わわせたくない。だから 私は、後輩たちが安心して夢を描けるよう、その土台を作ると決めた。

この6年間を経て、私はようやく、「自分の人生の構造式」を見つけた。

人生 = 努力で得られる毎日の充実感
× 祖先に守られる心の安心
× 明日を築く長期目標

これは、日本での6 年間、何度も迷い、失い、また立ち上がってきたからこそ、たどり着けた私だけの公式である。

もちろん、公式ができたからといって、人生が簡単になるわけではない。朝から晩まで疲労、人間関係に悩み、届かない目標。「やっぱり自分には無理なんじゃないか」そう思う夜もあった。でも、そんなとき私は、自分にこう言う。

「ナムカ、あなたには、やるべきことがある。」


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