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山と夢
中国・新疆ウイグル自治区出身/2015年10月来日
千葉大学大学院 医学薬学府 博士課程3年在学中
趣味:読書、料理、民族舞踊
将来の夢:医学・医療の発展に貢献できる人になりたい
研究テーマ:パーキンソン病慢性深部脳刺激による脳内ネットーク変化の解析
(Effects of deep brain stimulation on brain network in Parkinson’s disease)
 
 

山、といえば、最初に頭にでてくるのはどんな山の形でしょうか。緑の植物や華やかな花でおおわれている綺麗な山、登山者が集まるにぎやかな山、人によっていろんな答えがありますね。私の答えは海抜が高い、常年雪しかない、寒いけれど、毎回思い出した時は心が暖かくなる故郷Pamir高原にあるあのムスターグという山ですね。子供の頃、母親からいつも“夢は山の向こう側にある、夢を叶えるため、この山を越えなければなりません”と教わった私は一生懸命頑張りました。そして段々山から遠くに離れてきました。私は夢へ近づいているだろうか……。

夢への第一歩は医科大学でした。当時医科大学の入学式でヒポクラテスの誓いを読まれた時の「夢にも一歩近づきました」との感動の気持ちは今まで忘れないです。その時将来必ず患者さんの病気を上手に治療できる医師になり、医学の発展に貢献できる人材になりたいという気持ちはもっと強くなりました。実際のインターンや見学でその道は思っていたよりも長いことを感じました。山の向こうにはまだ山でした。卒業後は就職と進学の中、進学の道を選びました。もっと先端知識を学びたい、医療技術は世界でもトップレベルである日本に留学することを決めました。

日本に来てから、大学院入学試験を受験して、念願の大学院に入学することができ本格的な研究を始めることもできました。

医療費は途上国での患者達の生活に多大な影響がある原因の一つです。大学院では、「脳波を用いた脳深部刺激療法周術期パーキンソン病の脳機能評価」を研究テーマとして本格的な研究を始めました。この研究は薬物療法で症状コントロールが困難なパーキンソン病患者さんについて脳波を解析し、脳深部刺激による術後臨床症状の変化と術前脳波の関係を明らかにすることを目的としています。脳波は、脳機能を検出するための非侵襲性で繰り返しが可能な検査であり、コストの面においても途上国で利用価値が高いと思います。医療費の負担を減少することも患者達の生活質量を高めることにつながると考えられます。

そして、日本に来てからいつも先生達の討論中に“QOL”という言葉は耳に入ることが多く、調べたら、Quality of lifeの略称でした。病気になった人達は一人一人それぞれ違う文化背景、教育履歴、家族関係を持つので、病気の治療だけでなく、その人の生活質量も一つの要因として考えていることはとても印象的でした。何故ならば、故郷で病気で苦しんでいる人が多いものの、医師が不足しており、その結果、一人一人の患者のQOL に対しての配慮は不十分になってしまっているのです。自分は将来、治療をうまく施して、できるだけその患者の生活質量を高めることのできる医師になりたいと考えています。

私は留学生活の中で感じたことの一つは異文化の学習の必要性です。大学の日本語授業でいろんな国から来た学生がいるので、日本語の勉強だけでなく、異文化についても勉強ができました。ディスカッションでいつも同じ事物に対して全然違う、自分が考えていない観点が出てくるので、“こういう考え方もあるんだな”と思いながら、自分もいろんな立場から考えるようになってきました。そして、異文化の理解のうえ、自分の伝統的な文化も理解し、民族文化の美しさをもっと多くの人に伝える能力も大事と感じました。

この3年間で自分も成長してきました、山の向こうには、どんな大変なことがあっても、きっと良いこともある、だから、あきらめない気持ちでこれからも一生懸命頑張って、専門知識、文化知識を身につけ、将来は日本で学んだ知識を母国に持ち帰り、医療医学の発展、文化の橋渡しに貢献できる人材になりたいと思います。

 
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