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奨学生エッセイ
 
 
 
コロナ下の留学
台湾出身/2022年3月来日
早稲田大学大学院 アジア太平洋研究科 修士2年在学中
趣味:三味線、尺八、散歩
将来の夢:対日交流を推進すること
研究テーマ:日本華僑団体における民族アイデンティティの推移

去年、順風満帆に大学院に入学できましたが、コロナという前例のない事態に応じて、いろいろなことに挑戦し、日常生活の中で、ことわざ「人間万事塞翁が馬」の意味を実感しました。一見すると、幸せや幸運といった良いことに見えてもそれは、物事の変化に伴い、急に悪化する恐れもあります。一方、その不幸が本当の不幸かどうかは、後になってからみなければ、わからないものなので、それを念頭に置いて、すべての努力を尽くし、転機を逃さないように最後まで頑張りました。

私は元々大学を卒業したら、すぐに日本に留学するつもりでした。しかし、コロナ禍によって発令された水際対策の影響で、計画通りに進まず、本来ならごく簡単な入国や大学院入試を受けることさえ順調に進みませんでした。留学を諦めようかと悩んでいたところ、入りたかった研究科が突然、海外出願の特別制度を導入したため、入試を受けられるようになっただけでなく、その制度のおかげで、検定料も一般入試の六分の一になりました。もちろん良いことばかりではありません。その後、順調に合格し、そのまま日本に行けるかと思いきや、コロナの感染拡大を防止するために、新規の留学生を含むすべての外国人を受け入れないことがニュースで報じられ、いつ日本に行けるかわからない状況になってしまいました。

結局、学費を払ったものの、授業はオンラインのみで、キャンパスにも行けず、学生証ももらえず、他の学生との交流もほぼありませんでした。しかし、別の面をみれば、オンライン授業も悪いことではありません。実家暮らししながらオンラインで日本の大学院の授業を受けることによって、家賃や食費の節約ができ、入学前にしていた仕事も続けられたので、給料で留学資金を賄い、自分の力で留学することが可能になりました。

今年の3月、ようやく留学生として念願の来日を果たしました。私は日本の華僑社会の歴史と現状について研究しているので、1年間日本に行けなかった代償として、去年やるべきだった修士論文の下調べや現地調査、インタビューなどを急がなければ、卒業に間に合わないかもしれません。

ことわざ「人間万事塞翁が馬」と『老子』に書いてある「禍は福のよる所、福は禍の伏す所なり」のように、福の中に必ず禍が潜み、禍の中に福が潜んでいるものです。予知能力などない人間には、物事の現状しかわからず、未来は見えないので、どのような変化があっても、目の前のことを全力で頑張るしかありません。もし最善を尽くしても望ましくない結末になったら、それを活かしていくしかありません。例えば、そうならなければ会えなかった人に会ったり、知らなかった知識を得たり、新たな方向性を見つけたりするなど、せめて他の人にない経験を積みたいです。

幸い、日本に来ることができ、その上、ありがたいことに奨学金までいただけることになりました。もし、台湾でオンラインを受けているだけだったら、奨学金をいただく機会もなかったでしょう。留学生の中には、生活費や学費のため、アルバイトに明け暮れて、研究のための時間を確保できない人も多くいると聞きます。私は奨学金のおかげで、安心して留学生活が送れます。ですから、存分に勉学のために時間と労力を使い、よい研究結果を残したいと思います。

 
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