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「私の異文化研究について」 ソウ ロエン
中国出身。2001年来日。フジ国際語学校を経て、
現在、上智大学総合人間科学部教育学科4年在学中。
趣味は料理、読書。特技は民族舞踊を踊ること。
 
 

グローバル化が急速に進んでいく中で、日中ビジネスが盛んに行われている。2003年から、日中の貿易量は日米を超え、日本経済に占める中国の比重が現在にも伸び続けている。『日本経済新聞』(8月31日)によると、日本国内自動車大手―ホンダ、日産が、中国での部品の現地調達が8割に拡大していく計画がある。もちろん、自動車産業以外にも大手メーカーや商社などが中国とのビジネスも拡大している。その一方で、日本に留学してきた中国人学生たちは、大学また大学院卒業後、日本での就職を希望とする学生たちが圧倒的に多い。

平成17年末における外国人登録者数は201万1,555人で、日本総人口の1.57パーセントを占めている。そのなかで、留学生129,568人、就学生28,147人、合わせて、留学してきた学生たちは157,715人にも達した。(平成18年5月法務省入国管理局による)。そして、入国管理局の最新データ(平成18年7月)によると、平成17年においては、「留学」及び「就学」の在留資格を有する外国人(以下「留学生等」という)が日本の企業等への就職を目的として在留資格変更許可申請を行った件数は6,788人で、このうち5,878人が許可された。最終学歴からみると、大学を卒業した者が2,672人(45.5%)と最も多く、次が大学院において修士号又は博士号を授与された者2,257人(38.4%)の順となっており、両者で全体の83.9%を占めている。主な国籍・地域別内訳で見ると、中国(台湾、香港、マカオを除く)4,186人と留学生全体の71.2%に、最も多く占めている。以上のデータから見ると、中国からきた留学生が、これから日本企業の外国人雇用の主流になっていくことに違いない。

しかし、職場や日常生活において、異なる文化、習慣などによって、中国人社員が日本人社員と違う見方、価値観をもち、その違いによるトラブルやコミュニケーションギャップなどがしばしば発生しているのは現状である。私の異文化研究は、これら日本企業で勤めている中国人社員を対象として、中国人社員から思った日本人社員との問題及び対処法についての研究である。

例えば、一人の中国人社員がこのようなことを経験した。
「日本人の上司と仕事の打ち合わせをするとき、上司の目をじっと見て話したために、失礼と思われ、怒られたことがある」。

これは視線の使い方に対して、日中文化の違いによって、起きたトラブルである。中国人は人と話すとき、必ず相手(特に目上の人)の目を見ながら話す、そうしないと、相手のことを軽蔑すると思われる。しかし、日本では、他者と話すときに、相手の目をじっと見ずに、ときどき目を逸らしたほうが礼儀正しいと言われるのである。

このように、些細なことと思われるかもしれないが、それが異文化であり、何もしないで、そのままにしておくと、お互いに信頼関係を失い、チームワークを壊し、仕事に悪影響を与えていくと考えられる。なりより、お互いの文化や習慣を知ることが大事であり、それを尊重する上で、誠心誠意に付き合っていくことは異文化の壁を乗り越える重要な要素だと思う。

「郷に入れば郷に従え」ということわざがある。確かに、すべて相手国のやり方に従えば、文化摩擦が起こりにくい。しかし、グローバリゼーションの進展に伴い、異なる民族・文化・宗教・価値観の交錯する場や機会は増えてくる。一方的に変えていくより、「双方的な発信」または「多方的な発信」、つまりお互いに知ってもらって、理解することが、もっとも今の時代にふさわしいのではないかと思う。

私の研究はまだ始めたばかりだが、これからも深く追求していくつもりである。特に、歴史の問題で、日中関係が起伏している中で、自分の研究を通じて、日中国民の理解を深めていき、日中ビジネスがさらに繁栄していくことに少し役に立てば、とてもうれしいと思う。

 
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