日本のことをほとんど知らずに日本に留学した僕は今まで一度も後悔した事がありません。高校3年生の時に「日本に留学しませんか」と先生に薦められて、すぐ日本に留学することを決めました。「高校を卒業したら、外国に行っていろいろな事を吸収したい」という気持ちがずっと前からあったからです。
日本語もわからず、お金もなく、ただ「いろいろなことを学ぼう」という夢だけをもって日本に来ました。言葉の壁やカルチャショックなど、つらいことがたくさんありましたが、夢があるから乗り越えられました。言葉がわかってくると、周りの日本人とコミュニケーションがとれて、日本語や日本文化や社会システムなどいろんなことを教えてもらうことができました。ベトナムと日本はどんな違いがあるかを身をもって体験できました。そこで、「たくさん勉強しよう」という大きな目標から、自分が日本に来て、何を勉強すれば家族、ベトナム、そして日本のために役にたつことができるのかを具体的に考えるようになりました。静岡の日本語学校に通っていたころに、しばしば東京に行くことがありました。東京に行くたびに高速道路や地下鉄、高層ビルの数に驚きました。自分の故郷の町は高速道路も地下鉄もなく、これからそういうものは必ず作られると考えました。こういうものを作るのに莫大の鉄の量が使われているよという日本人の知り合いの一言がきっかけになって、将来ベトナムで鉄を作ろうと思いました。昔から、日本の金属の素晴らしさにあこがれることもあって、ますます「鉄を作ろう」という夢が自分の中に湧き上がりました。
2002年から北大工学部で金属精錬に関する知識を勉強してきました。鉄精錬の専門的な知識を勉強すると、学問の意味深さと日本の技術レベルの高さがわかるようになります。新日鉄の鉄鋼工場などを見学すると、工場の大きさだけじゃなく、実際に使われている先端技術や現場の人のテクニックに驚きました。そこで、「もしベトナムで高い技術を持ち、質のいい鉄を作れる鉄鋼工場ができたらいいなあ」と思うようになりました。大学を卒業したら、ベトナムで工場をもつ日本の鉄鋼会社に就職し、勉強した知識を用いてベトナムで鉄を作りたいと思っています。
日本は僕の夢を具体的な形にして、その夢をかなえるチャンスを与えてくれています。日本の皆様に感謝しています。自分の夢をかなえるように、これから一生懸命勉強していきます。 |